目次
TCP/IP
TCP/IPとは
TCP/IP(Transmission Control Protocol /Internet Protocol)とは、インターネットを含む多くのコンピュータネットワークにおいて、標準的に利用されている通信プロトコルのセットです。
別名インターネット・プロトコル・スイート(Internet protocol suite)とも呼ばれています。
ネットワークの基本モデルである「OSI参照モデル」が1977年から1984年にかけて国際標準化機構(ISO)により定義されるも「OSI参照モデル」自体は普及せず、その内容だけがネットワークの基本モデルとして広く参照されています。
そして「TCP/IP」の階層モデルが事実上の標準として広く普及しています。
TCP/IPは、通信の中心的な役割を果たす「TCP」と「IP」からTCP/IPと呼ばれるようになりました。「TCP」と「IP」を使う通信がTCP/IPであると勘違いしてしまいそうですが、TCP/IPとはあくまでも通信プロトコルのセットです。
通信でよく使用するプロトコル群( IP, ICMP, TCP, UDP, HTTP, SMTP, SSH, TELNETなど)を総称してTCP/IPと呼びます。
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TCP/IPの階層モデル
TCP/IPはOSI参照モデルと同じように、役割を階層に分けています。OSI参照モデルは7階層に役割分担していますが、TCP/IPの階層モデルでは4階層に役割を分担しています。
OSI参照モデルとの違いは、OSI参照モデルでは7階層~5階層を「アプリケーション層」「プレゼンテーション層」「セッション層」に分けていましたが、TCP/IPでは「アプリケーション層」のみです。
また、2階層~1階層もOSI参照モデルでは「データリンク層」「物理層」と2階層に分けていましたが、TCP/IPではネットワークインターフェース層と1階層で表されています。
OSI参照モデルの階層 | TCP/IPの階層 |
アプリケーション層 | アプリケーション層 |
プレゼンテーション層 | |
セッション層 | |
トランスポート層 | トランスポート層 |
ネットワーク層 | インターネット層 |
データリンク層 | ネットワークインターフェース層 |
物理層 |
TCP/IP 各層の役割
アプリケーション層
利用者がコンピュータを使いインターネット上で通信を行う際の入り口がアプリケーション層です。
アプリケーション層の役割は、利用者が使うアプリケーションが通信できるようにするためルール(プロトコル)を定めています。例えばWebサイトを閲覧するには「HTTP」と呼ばれるプロトコルを使用します。そしてメール送信には「SMTP」、ファイル転送には「FTP」を使用します。
このように利用者が使うアプリケーションの通信ルール(プロトコル)を定めることで、クライアント(送信側)とサーバ間(受信側)で問題なく通信できます。
ポイント
アプリケーション層がコンピュータと利用者の架け橋となりサービス(プロトコル)を提供している。
トランスポート層
トランスポート層は「TCP/IP」の主役プロトコルである「TCP」が定義されている層です。
トランスポート層の役割は、通信する際の信頼性を定めることです。
インターネット上で通信する時、必ずデータの送信に成功するとは限りません。また送信に成功してもデータが欠落してしまうことも考えられます。
そこで、データの送信に失敗したケースや欠落してしまったケースを考慮し、通信の信頼性について定義しているのがトランスポート層です。
具体的には、コネクション型の「TCP」とコネクションレス型の「UDP」がトランスポート層で定義されています。
コネクション型のTCPは、通信相手とまるで会話をしているかのようにやり取りしながらデータの送受信をおこなう方式です。送信に失敗した場合やデータが欠落した場合でも再送する仕組みが用意されています。
そのため、TCPを利用することで信頼性の高い通信が保証されます。
TCPのイメージ例
UDPは、TCPとは違い速度を優先したプロトコルです。
UDPはコネクションレス型のプロトコルです。その特徴は、相手にデータが届いたかの確認を行いません。一方的にデータを送ることで速度の速い通信を実現しています。そのため、多少のデータの欠落があっても高速性やリアルタイム性を重視する通信で使われています。
UDPのイメージ例
ポイント
トランスポート層では、信頼性の高い「TCP」か速度重視の「UDP」かを選択する
※他のプロトコルもあるが主にこの2つが主流。
インターネット層
インターネット層は「TCP/IP」の主役プロトコルである「IP」が定義されている層です。
インターネット層の役割は、主役プロトコルである「IP」を使い目的地までデータを届ける(エンド・ツー・エンド)ことです。
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宅配便では、宅配物を届け先に届けるために住所を利用します。インターネット上の通信も宅配便の仕組みと似ていて「IPアドレス」と呼ばれるインターネット上の住所を利用します。
インターネット層では、このIPアドレスを参照し目的地までデータを届けるためのルールを定義しています。
インターネット層では、ルータ(L3スイッチ)と呼ばれるネットワーク機器が活躍します。ルータとは異なるネットワーク間の中継器。
ネットワーク上のコンピュータが自分の所属しているネットワークから外部にアクセスする時は必ずルータを経由します。例えば次の図のように、「PC1」が「ネットワークB」や「ネットワークC」にあるコンピュータにアクセスするためには、「ルータA」を経由します。
ルータには「ルーティングテーブル」と呼ばれる経路情報を保持しており、その経路情報を元に最適な経路を導き出すことができます。この最適経路を導き出す仕組みをルーティングといいます。
ルーティングテーブルには、インターネット上の住所である「IPアドレス」が管理されており「宛先のIPアドレス」から宛先のコンピュータが、どのネットワークに所属しているかを確認しそのネットワークへとデータを転送していきます。
ポイント
インターネット層の役割は、IPとルーティングを使い目的地までデータを届けること
ネットワークインターフェース層
ネットワークインターフェース層の役割は、隣接するコンピュータ間の通信を可能にすることです。
ネットワークインターフェース層では、上位層から送られてきた「0」と「1」で表現されたビット列を「電気信号」や「光信号」「無線」に変換します。
各信号に変換することで、LANケーブルや光ケーブル、無線などでデータを送ることができます。また、受信側では「電気信号」や「光信号」「無線」などをビット列に戻していきます。
ポイント
ネットワークインターフェース層は、ビット列を「電気信号」などに変換する