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長時間労働の原因は何!?
長時間労働のイメージが強いIT業界。最近は働き方改革の影響により昔に比べると長時間労働は減ってきています。36協定の特別条項に上限値が設定されたり(36協定については後程説明)、有給取得の取得率が上がったりと良い方向性に向かっているのは間違いありません。
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しかし、まだまだ長時間労働があるのが現実です。
IT業界で働いている私の実体験も含めながら、長時間労働の原因と対策についてまとめてみました。
見積もりに失敗している
IT業界は一般的に「要件定義」→「基本設計」→「詳細設計」→「コーディング」→「単体テスト」→「結合テスト」→「総合テスト」の工程があります。
開発案件は「要件定義」を始める前にスケジュールと予算を決めます。
この時、"スケジュールが現実的ではない" もしくは "開発規模に対して予算が少ない"場合、案件が炎上する可能性が高いです。
見積もりに失敗しているので、短い期間で開発 もしくは 少人数で開発することになり、長時間労働に繋がっていきます。
マネージメント能力不足
プロジェクトマネージャーのマネージメント能力が低い場合にも長時間労働に繋がります。
スケジュールと予算が決まった後にお客様から仕様の追加や変更の依頼を受ける事はよくあります。依頼内容にもよりますが、規模の大きい依頼であれば、その分スケジュールを延ばしてもらったり、追加開発分の予算を確保するのが一般的です。
しかし中にはお客様の追加要望だけを受けてしまい、スケジュールの変更や追加予算をもらわずに仕事を受けてしまうケースがあります。
その場合当たり前ですが、開発メンバーは急に作業が増え、長時間労働に繋がる結果となります。
またお客様の無理な要望をシステム屋として現実的な要望に変え提案していくのも要件定義では重要です。
これを無理な要望のまま受けてしまい、開発側に負荷がかかり、長時間労働に繋がることもあります。
開発メンバーの技術力不足
妥当なスケジュールであっても開発メンバーの技術力が低い場合も長時間労働に繋がることが多いです。
技術力の高いエンジニアは効率良くメンテナンス性の高い、品質の良いソースコードを書きます。
しかし技術力が低いエンジニアだと時間がかかり、メンテナンス性が低く、品質の悪いソースコードを書きます。
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技術力の高いエンジニアが、しっかりソースコードレビューを行い、開発メンバーのフォローが出来ている現場は、長時間労働に繋がることは比較的少ないと感じています。
設計書やソースコードのレビューはレビューして直してを繰り返す為、時間がかかります。
しかしレビューをして品質の良い物にした方が結果的には長時間労働に繋がらないのかもしれません。
品質が悪い
品質が悪いと、リリース後に炎上する事があります。これが一番最悪です。
本番リリースしてお客様が運用を始めてから障害(バグ)が発生するパターンです。
本番で動いている為、重要な障害であれば至急の対応が必要です。お金が関係しているシステムなどは特に至急な対応が必要です。
何日も泊まり込みで対応するケースも珍しくありません。
試験工程は本当に重要な工程です。
この工程を軽視している現場に多いイメージです。
長時間労働から起こる問題
仕事の効率が下がる
長時間労働をしていると、仕事の効率が下がります。体が常に疲れていて頭がボーとします。
明らかに仕事の効率は下がると感じています。
睡眠不足の日々・体調を崩す
毎日終電まで作業して、次の日は朝9時から勤務。
深夜に家に帰宅してお風呂に入り、夕食を取り(職場で食べていない場合)、気がつけば深夜2時。朝7時起床だとしたら5時間しか寝ていません。
また疲れすぎているとなかなか眠れなかったりもします。
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毎日クタクタで短く質の悪い睡眠を繰り返していると体調を崩す可能性も高まります。
うつ病になる危険
IT業界はうつ病で休職する人が多い業界です。特に長時間労働で体調を崩してうつ病になる人が多いイメージです。
私も長時間労働の現場を経験した事がありますが、沢山の人がうつ病で休職したり、会社を辞めていきました。
人が減るたびに新しい人が増え、また減る。本当に恐ろしい現場でした。
自分の身を守るために知っておきたいこと・やっておきたいこと
会社の為に長時間労働の現場で働き体調を崩しても、会社は守ってくれません。休職させてくれますが、休職も繰り返していれば、退職せざるえない状態になる可能性もあります。
結局は自分の身は自分で守るしかないのです。
36協定
36協定(サブロク)とは、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。
労働基準法第36条には
「労働者は1日8時間、1週40時間を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者で書面による協定を締結しなければならない」と定められています。
これが36協定です。
36協定は原則として残業時間は月45時間、年360時間と定められています。
しかし36協定には「特別条項付き協定」があり上限を超えても残業させることが可能です。
「特別条項」は会社毎に上限値を決めているので、所属会社の上限値は把握しておいた方がよいです。
もし「特別条項」の上限値以上に残業している場合は、話のわかる上司がいれば上司に相談して稼働を下げさせてもらうようにしましょう。
ちなみに「特別条項」には設定する時間の上限値がありません。そのため会社によっては凄い高い上限値でも設定することが可能でした。
2019年4月(中小企業に関しては2020年4月から)から「特別条項付き協定」にも設定時間の上限が設定され年間720時間(月平均60H)までとなりました。
話しのわかる上司を探す
長時間労働の現場では、話のわかる上司がいるか、いないかでだいぶ変わります。
話のわかる上司がいれば、相談して稼働を下げさせてもらうとか、現場から抜けさせてもらいましょう。
現場の上司が話の通じない人であれば、現場の外にいる権限のある上司に相談しましょう。
生活の為に仕事をしていることを忘れない
仕事は生活する為にしているということを忘れないようにしましょう。
長時間労働の結果、体調を崩してしまい私生活までボロボロにならないように、長時間労働で体の危険を感じたら仕事を休む、上司に相談する、現場を変えてもらう、仕事を辞める、転職するなど対応策は沢山あります。
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まずは自分の健康を第一優先して行動する事をお勧めします。
ギリギリまで頑張って精神的に不安な状態になると、判断が鈍くなり自分を責めたり、弱気になったりと適切な判断ができなくなる恐れがあります。私も過去に長時間労働の現場を経験し、うつ病に近い状態になった事がありますが、判断力は鈍りギリギリの精神状態でした。
会社は守ってくれません。自分の身の安全は自分で守る意識を持つことは大切だと私は考えています。
転職する道もある
長時間労働で体調を崩しそうな危険を感じた場合、転職する道もあります。
会社を辞めるとまわりに迷惑がかかる、自分がいなくなると回らなくなるなど心配はあると思います。
有識者がいなくなって現場が困る事はよくあります。ただなんだかんだで上手くいく事がほとんどです。
体調を崩してしまうくらいなら思い切って転職してみる方がいいと思われます。
終わりに
IT業界の長時間労働についてまとめてみました。働き方改革により、以前より長時間労働は減ってきましたが、まだまだ多いのが現実です。
長時間労働については、会社に頼るのではなく、自分の身は自分で守る意識を持って行動する事が大切なのかもしれません。