問題
DRAMの特徴はどれか。
- ア:書込み及び消去を一括又はブロック単位で行う。
- イ:データを保持するためのリフレッシュ操作又はアクセス操作が不要である。
- ウ:電源が遮断された状態でも,記憶した情報を保持することができる。
- エ:メモリセル構造が単純なので高集積化することができ,ビット単価を安くできる。
基本情報技術者令和元年秋期 午前問20
問題
フラッシュメモリに関する記述として,適切なものはどれか。
- ア:高速に書換えができ,CPUのキャッシュメモリに用いられる。
- イ:紫外線で全データ一括消去できる。
- ウ:周期的にデータの再書込みが必要である。
- エ:ブロック単位で電気的に内容の消去ができる。
基本情報技術者平成30年春期 午前問22
メモリはコンピュータの動作に必要なデータを記憶するための装置です。メモリには様々な種類があり基本情報技術者試験や応用情報技術者試験では、その違いについて問われる問題が出題されています。
本記事では、メモリの種類とその特徴について図解で分かりやすく解説していきます。
本記事で学べること
- メモリの分類を覚える
- 各メモリの特徴を理解する
- 基本情報技術者試験の過去問の解き方を学ぶ
目次
メモリの分類
コンピュータで使用するメモリは「揮発性(きはつせい)」と「不揮発性(ふきはつせい)」の2種類に分かれています。
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揮発性はコンピュータの電源を切ると記録内容が消えてしまうメモリ、不揮発性はコンピュータの電源を切っても記録内容が消えないメモリのことです。
RAM(揮発性) | DRAM | 主記憶装置(メインメモリ)として使用されている |
SRAM | キャッシュメモリとして使用されている | |
ROM(不揮発性) | マスクROM | 読み出し専用のメモリ。ユーザーによる消去・書き込みは不可能 |
PROM | 読み出し専用のメモリ。ユーザーによる消去・書き込みが可能 |
RAM(ラム)
RAM(Random Access Memory)とは、自由に読み書きできるメモリのことで、主に主記憶装置(DRAM)やキャッシュメモリ(SRAM)として用いられています。
揮発性メモリのためコンピュータの電源を切ると記録内容を失います。
RAMにはDRAMとSRAMがあります。DRAMとSRAMの違いは次のとおりです。
項目 | DRAM | SRAM |
速度 | 低速 | 高速 |
集積度 | 高い | 低い |
単価 | 安価 | 高価 |
リフレッシュ動作 | 必要 | 不要 |
用途 | 主記憶装置 | キャッシュメモリ |
DRAM(ディーラム)
DRAM(Dynamic Random Access Memory)は揮発性メモリであるRAMの一種で、主にコンピュータの主記憶装置(メインメモリ)に用いられるメモリです。
コンピュータの頭脳であるCPUは高速に動作します。この高速に動作するCPUが直接読み書きする記憶装置が主記憶装置です。主記憶装置にはCPUが処理を実行するために必要な情報を一時的に記憶します。
補助記憶装置であるハードディスクではなく主記憶装置を使う理由は、主記憶装置の方が補助記憶装置よりも桁違いに早く動作するからです。(CPUの高速処理についていけるのはメモリしかない)
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DRAMは安価で容量が大きいがSRAMに比べると低速なのが特徴です。また、記憶内容を維持するためにリフレッシュ動作(記憶素子に内容を記録してから時間が経つと次第に内容が失われていくため、一定時間ごとに同じ内容を記録し直す動作)をおこないます。
そして、メモリセル構造(情報を記憶、読み書きする最小単位となる回路構成)が単純なので、高集積化することができ、容量あたりの製造コストを下げることができます。
SRAM(エスラム)
SRAM(Static Random Access Memory)は揮発性メモリであるRAMの一種で、主にキャッシュメモリとして用いられるメモリです。
CPUは主記憶装置を使って命令を処理します。しかし、高速で動作するCPUに比べると主記憶装置の処理は遅く待ち時間が発生してしまいます。
そこで使用するのがキャッシュメモリです。キャッシュメモリは主記憶装置より高速に動作するため、メモリアクセスの時間が短縮できCPU性能の向上につながります。
主記憶装置(メインメモリ)から読み込んだデータは、キャッシュメモリに保存されるので、同じデータや命令を読み込むときは、高速なキャッシュメモリから取得します。
ROM(ロム)
ROM(Read Only Memory)とは、読み出し専用メモリのことです。
不揮発性メモリのためコンピュータの電源を切っても記録内容が失われることはありません。
ROMはユーザーによる消去・書き込みが不可能な「マスクROM」とユーザーによる消去・書き込みが可能な「PROM」に分かれています。
マスクROM
マスクROMは不揮発性メモリであるROMの一種で、記録されている内容を書き換えることができない読み出し専用のメモリです。
動作に必要なプログラムやデータをあらかじめメモリ内に書き込まれた状態で工場から出荷され、以降は内容を書き換えることができません。
PROM(ピーロム)
PROMは不揮発性メモリであるROMの一種で、基本的には記録されている内容を書き換えることができない読み出し専用だが、特定の機器を使うことで記憶内容の消去と書き込みができるメモリです。
PROMは書き込み可能なROMの総称のことで、PROMには次のような種類があります。
PROM | OTP ROM(ワンタイムPROM) | 一度だけ記録することができ、消去や上書きなどができない |
EPROM | 紫外線を照射することでデータを消去して書き換えることができる | |
EEPROM | 電気的にデータを消去して書き換えることができる | |
フラッシュメモリ | EEPROMの一種。EEPROMを更に発展させたもので、ブロック単位でデータを消去して書き換えることができる |
基本情報技術者試験 過去問の解説
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基本情報技術者令和元年秋期 午前問20
問題
DRAMの特徴はどれか。
- ア:書込み及び消去を一括又はブロック単位で行う。
- イ:データを保持するためのリフレッシュ操作又はアクセス操作が不要である。
- ウ:電源が遮断された状態でも,記憶した情報を保持することができる。
- エ:メモリセル構造が単純なので高集積化することができ,ビット単価を安くできる。
基本情報技術者令和元年秋期 午前問20
DRAMは揮発性メモリであるRAMの一種で、コンピュータの主記憶装置(メインメモリ)に用いられるメモリです。
DRAMの特徴
- 価格が安価で容量が大きい
- SRAMに比べると低速
- リフレッシュ動作が必要
- 回路構成で単純なので高集積化(集積度が高い)でき、製造コストを下げることができる
- 用途は主記憶装置(メインメモリ)
DRAMの特徴を説明しているのはどれか解答のア~エを順番に確認していきます。
■ア:書込み及び消去を一括又はブロック単位で行う。
→ フラッシュメモリの説明です。DRAMはアドレス単位で消去と書き込みをおこなうので不正解です。
■イ:データを保持するためのリフレッシュ操作又はアクセス操作が不要である。
→ SRAMの説明です。DRAMはデータを保持するためのリフレッシュ動作が必要です。
■ウ:電源が遮断された状態でも,記憶した情報を保持することができる。
→ 不揮発性メモリであるROMの説明です。DARMは揮発性メモリであるRAMの一種なので、電源を切ると記録内容を失います。
■エ:メモリセル構造が単純なので高集積化することができ,ビット単価を安くできる。
→ DRAMの説明なので正解です。
基本情報技術者平成30年春期 午前問22
問題
フラッシュメモリに関する記述として,適切なものはどれか。
- ア:高速に書換えができ,CPUのキャッシュメモリに用いられる。
- イ:紫外線で全データ一括消去できる。
- ウ:周期的にデータの再書込みが必要である。
- エ:ブロック単位で電気的に内容の消去ができる。
基本情報技術者平成30年春期 午前問22
フラッシュメモリは不揮発性メモリであるROMの一種(EEPROMの一種)で、電気的にデータを消去して書き換えることができるメモリです。
EEPROMを更に発展させたもので、ブロック単位でデータを消去して書き換えることができます。
フラッシュメモリの説明として適切なものはどれか解答のア~エを順番に確認していきます。
■ア:高速に書換えができ,CPUのキャッシュメモリに用いられる。
→ SRAMの説明なので不正解です。フラッシュメモリはCPUのキャッシュメモリとしては用いられていません。
■イ:紫外線で全データ一括消去できる。
→ EPROMの説明なので不正解です。フラッシュメモリは電気的にデータを消去して書き換えることができるメモリです。
■ウ:周期的にデータの再書込みが必要である。
→ DRAMの説明なので不正解です。フラッシュメモリにリフレッシュ動作は不要です。
■エ:ブロック単位で電気的に内容の消去ができる。
→ フラッシュメモリの説明なので正解です。