基本情報技術者

シリアルバスとパラレルバスの規格【基本情報技術者試験対策】

2022年1月10日

今回のテーマはシリアルバスとパラレルバスです。
シリアルバス?パラレルバス?

問題

USB3.0の説明として,適切なものはどれか。

  • ア:1クロックで2ビットの情報を伝送する4対の信号線を使用し,最大1Gビット/秒のスループットをもつインタフェースである。
  • イ:PCと周辺機器とを接続するATA仕様をシリアル化したものである。
  • ウ:音声,映像などに適したアイソクロナス転送を採用しており,ブロードキャスト転送モードをもつシリアルインタフェースである。
  • エ:スーパースピードと呼ばれる5Gビット/秒のデータ転送モードをもつシリアルインタフェースである。

基本情報技術者平成30年秋期 午前問12

問題

シリアルATAの特徴として,適切なものはどれか。

  • ア:SAS(Serial Attached SCSI)と双方向の互換性がある。
  • イ:デイジーチェーン接続を採用している。
  • ウ:パラレルATAとケーブル,コネクタに互換性がある。
  • エ:ホットスワップ対応が可能である。

基本情報技術者平成20年秋期 午前問24

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験で出題されるシリアルバスやパラレルバスの規格についての問題。難しく感じる問題ですが、各規格の特徴を理解していればそこまで難しい問題ではありません。

本記事では、シリアルバスやパラレルバスの規格についてわかりやすく図解で解説していきます。

本記事で学べること

  • 内部バス外部バスを理解する
  • パラレルバスシリアルバスの動きを理解する
  • パラレルバスとシリアルバスの規格を覚える
  • 基本情報技術者試験の過去問の解き方を学ぶ

内部バスと外部バス

コンピュータには様々な機器が接続されています。この機器間でデータをやり取りするための経路のことを「バス」といいます。

そして、CPU内部の機器(レジスタなど)を接続するバスを内部バス、外部の機器を接続するバスを外部バスと呼びます。

内部バスと外部バス

外部バスには、コンピュータ内部に接続される機器であるメモリ(主記憶装置)やハードディスク、拡張カードなどを接続する高速な外部バスと、コンピュータ外部に接続される機器であるキーボード、マウス、ディスプレイなどを接続する低速な外部バスがあり、ブリッジと呼ばれる両者の速度差を吸収するコントローラに接続されています。

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シリアルバスとパラレルバス

コンピュータに接続されている機器間でデータを転送する方式には「シリアルバス」と「パラレルバス」があります。

当初は複数の信号を1回で送信できるパラレルバスが高速とされていましたが、複数の信号を並列で送るパラレルバスは高速になればなるほど、信号間のタイミングを取ることが難しくなり、現在では、シリアルバスで高速化を図るのか主流となっています。

シリアルバスとは

1ビットずつ順番にデータを転送する方式(直列)をシリアルバスといいます。

信号を一つずつ順番に送るので、受け側も順番に受け取れば良く、送受信の制御が簡単にできます。

シリアルバスとは

パラレルバスとは

シリアルバスが1ビットずつデータを転送するのに対して、複数ビットを同時に複数本の通信路で情報を転送する方式(並列)をパラレルバスといいます。

パラレルバスとは

シリアルバスとパラレルバスの規格

シリアルバスとパラレルバスの主な規格には次のようなものがあります。

初期の頃はパラレルバスが主流でしたが現在はシリアルバスが主流のため、パラレルバス規格は役目を終えほとんどがシリアルバス規格に置き換えられています

パラレルバスの規格 シリアルバスの規格 備考
PCI PCI Express 拡張カードを差し込むための規格
AGP
ATA(パラレルATA) シリアルATA ハードディスクなどのストレージ機器を接続するための規格
SCSI SAS ハードディスクなどのストレージ機器を接続するための規格
- USB キーボードやマウスなどの周辺機器をつなぐためのもっとも標準的な規格
- IEEE1394 ハードディスク・レコーダーなどのデジタル家電やデジタルビデオカメラなどを接続するための規格

パラレルバスの規格

PCI(ピーシーアイ)

PCIとは、コンピュータの機能を拡張する「拡張カード」を差し込むためのインタフェースの規格のことです。

拡張スロットの規格

コンピュータの内部には、マザーボードという様々な部品が取り付けられている基盤が入っており、この基盤には拡張カードを差し込むための「拡張スロット」という差し込み口(インタフェース)があります。この拡張カードを差し込むためのインタフェースの規格のひとつがPCIです。

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PCIは初期の規格が1992年に策定され、その後コンピュータの標準的な拡張バス規格として広く普及するも、2003年に後継のPCI Express(PCIe)が登場し2005年頃には、PCIは過去の規格として互換性のためにわずかに残されるのみとなっています。

AGP(エージーピー)

AGP(エージーピー)とは、グラフィックカード用の拡張カードを差し込むためのインタフェースの規格のことです。

拡張スロットの規格

AGPは拡張カードを差し込むためのインタフェースの規格のひとつであり、拡張カードの中でも映像をより綺麗に出力するための「グラフィックカード(ビデオカード)」を差し込むための規格です。

AGPが登場する前は、汎用的な拡張インタフェースである「PCI」などがグラフィックカードの役割も担っていました。

しかし、1990年代後半に3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)を扱うようになり「PCI」では荷が重く(大量のデータ転送が必要)、グラフィックカード用の拡張カードとして1996年に米インテル(Intel)が「AGP」を策定しています。

2003年により高性能だがAGPと互換性のない後継規格PCI Express(PCIe)が登場し、さらに2005年末以降のマザーボードの新製品ではPCI Express (PCIe) 規格のみを搭載したマザーボードが一般的となったため、AGP規格は改訂を終了しています。

ATA(エーティーエー)

ATAとは、コンピュータにハードディスクを接続するためのインタフェースの規格のことです。パラレルATAと呼ばれることもあります。

ATAのイメージ図

ATAは1989年に制定され1990年代に主流となっていたが、主流がシリアル方式へと移っていったことで、パラレル方式のATA規格は利用されなくなっています。

SCSI(スカジー)

SCSIとは、コンピュータ本体にハードディスクやCD-ROM、イメージスキャナなど、様々な周辺機器の接続に使われていたインタフェースの規格のことです。

SCSIの接続イメージ

SCSIの最初の規格は1986年に策定されています。各機器と数珠つなぎ(デイジーチェーン)で接続します。

主流がシリアル方式へと移っていったことで、パラレル方式のSCSIは利用されなくなり、パソコン本体と外部周辺機器の接続はシリアル方式であるUSBなどが利用されるようになっています。

シリアルバスの規格

PCI Express(ピーシーアイエクスプレス)

PCI Expressとは、拡張カードを差し込むための汎用的なインタフェースの規格のことです。「PCIe」と表記されることも多く転送方式はシリアルです。

拡張スロットの規格

PCI Expressでは基本的な伝送路の構成をレーンと呼び、これを複数束ねることで高速な転送速度を実現しています。

レーン数はPCI Express 3.0までは x1、x2、x4、x8、x12、x16、x32の7種類から選択でき、PCI Express 4.0でx64が追加されています。

x2なら2倍、x16なら16倍と伝送速度が高速化します。

SATA(シリアルATA)

SATA(シリアルATA)とは、コンピュータにハードディスクやSSD、DVDドライブなどの光学ドライブを接続するためのインタフェースの規格のことです。

旧規格であるパラレル方式のATA(パラレルATA)を、シリアル方式にしたのがSATA(シリアルATA)です。

Serial Attached SCSIのイメージ図

SATA(シリアルATA)では、各機器と1対1(ポイントツーポイント)で接続します。

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SATA(シリアルATA)には次のような規格があります。

年度 規格 伝送速度(実効転送速度)
2003年 SATA1 1.5Gbps(150MB/s)
2004年 SATA2 3Gbps(300MB/s)
2009年 SATA3 6Gbps(600MB/s)

SAS(サス)

SAS(Serial Attached SCSI)とは、コンピュータにハードディスクやSSDなどのストレージ機器を接続するためのインタフェースの規格のことです。主にサーバ向けのコンピュータ製品で利用されています。

Serial Attached SCSIのイメージ図

旧規格であるパラレル方式のSCSIを、シリアル方式にしたのがSASです。

SCSIは各機器と数珠つなぎ(デイジーチェーン)で接続していましたが、SASでは各機器と1対1(ポイントツーポイント)で接続します。

SASには次のような規格があります。

年度 規格 伝送速度(実効転送速度)
2003年 SAS-1.0 3Gbps(300MB/s)
2009年 SAS-2.0 6Gbps(600MB/s)
2013年 SAS-3.0 12Gbps(1.2GB/s)
2017年 SAS-4.0 22.5Gbps(2.4GB/s)

SATAとSASの互換性

同じシリアル方式でハードディスクなどのストレージ機器を接続する規格にSATA(シリアルATA)があります。

SAS(サス)はSATA(シリアルATA)の上位互換となっており、SASコントローラにSATA接続のストレージを繋いで利用することができます。(SATAコントローラにSAS接続のストレージを繋ぐことはできない)

SATA(シリアルATA)は一般的なコンピュータ製品に、SASは主にサーバ向けのコンピュータ製品に用いられています。

USB(ユーエスビー)

USBとは、Universal Serial Bus(ユニバーサル・シリアル・バス)の略で、コンピュータ本体にキーボードやマウスなどの周辺機器をつなぐためのもっとも標準的なインタフェースの規格のことです。

シリアル方式の規格の中でも代表的なものがUSBです。

USBのイメージ例

Universal(ユニバーサル)の意味のとおり"万能で広く使える"規格であり、キーボード、マウス、スキャナのような入力装置から、プリンタなどの出力装置、外付けハードディスクなどの補助記憶装置など、さまざまな周辺機器と接続することを可能にしています。

USB規格では、1つのバス(伝送路)に周辺機器は最大で127台接続可能です。接続口が足りない場合は、次の図のようにUSBハブを使いツリー状に接続することもできます。

USBの接続イメージ

電源を入れたまま機器を抜き差しできる「ホットスワップ(ホットプラグ)」、周辺機器をつなぐと自動的に設定が開始(ドライバの自動インストール機能)される「プラグアンドプレイ」に対応しています。

ホットスワップやプラグアンドプレイは、IEEE1394やシリアルATA、SAS、PCI Expressなども対応しており、現在はほとんどのインタフェースが採用しています

また、コンピュータに対する周辺機器の接続だけではなく、携帯電話(スマートフォン)やデジタルオーディオプレーヤーなど多様な機器への電力を供給する用途にも使用されるようになっています。

その他には「USB On-The-Go」という拡張規格で、コンピュータを介さずに機器同士をUSBで直接つなぎ利用することもできます。(例えば、デジカメとプリンタをつなぎ、デジカメの写真をパソコンを介さずに印刷するなど)

USBのコネクタの形状

USBには主に次のようなコネクタの形状があります。

コネクタの形状 イメージ画像 説明
USB Type-A USB Type-A パソコンに接続する標準的なコネクタ。約5mm×約12mmの長方形の形状をしている。
USB Type-B USB Type-B プリンターやスキャナなどのパソコン周辺機器に接続するコネクタ。約8mm×約8mmで正方形に近い形状をしている。
USB Type-C USB Type-C 主にMacBookやAndroidなどに接続するコネクタ。約 8.4mm×約2.6mmのコンパクトな長円形の形状をしている。これまでのすべてのコネクタを置き換える新世代の標準として普及が進められている。

上記以外には、デジタルカメラなど小型の機器向けにより小型化した「Mini USB」(Mini USB Type-B)という形状もあります。

USBの規格

USBには次のような規格があります。

年月 規格 転送速度モード 最大データ転送速度(実効速度)
1996年1月 USB 1.0 Low Speed 1.5Mbps
1998年9月 USB 1.1 Full Speed 12Mbps (1.5MB/s)
2000年4月 USB 2.0 Hi Speed 480Mbps (60MB/s)
2008年11月 USB 3.0(USB 3.2 Gen 1) Super Speed 5Gbps (500MB/s)
2013年8月 USB 3.1(USB 3.2 Gen 2) Super Speed Plus 10Gbps (1.21GB/s)
2017年9月 USB 3.2(USB 3.2 Gen 2x2) 20Gbps (2.42GB/s)
2019年9月 USB4 Gen 2x2 - 20Gbps (2.42GB/s)
USB4 Gen 3x2 - 40Gbps (4.85GB/s)

IEEE1394(アイトリプルイー1394)

IEEE1394とは、コンピュータ本体にハードディスク・レコーダーなどのデジタル家電やデジタルビデオカメラなどを接続するためのインタフェースの規格のことです。

FireWire(ファイヤーワイヤー)、i.Link(アイリンク)、DV(ディーブイ)端子とも呼ばれています。

IEEE1394のイメージ図

USB同様に、パソコンと周辺機器の接続に使われるインターフェース規格として普及が期待されたが、実際はUSBほど普及せず(特許の問題やUSBがIEEE1394の速度を上回ったことなどが理由)、IEEE1394を搭載するパソコンは少なくなっています。

IEEE1394は、最大で63台までの機器を接続することができ、USBと同じようにハブを使いツリー状に接続することもできます。また数珠つなぎで接続することもできます。

動画や音声データのようなリアルタイム性を必要とするデーターの転送に適した転送方式である「アイソクロナス転送」を採用しています。

基本情報技術者試験 過去問の解説

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基本情報技術者平成30年秋期 午前問12

問題

USB3.0の説明として,適切なものはどれか。

  • ア:1クロックで2ビットの情報を伝送する4対の信号線を使用し,最大1Gビット/秒のスループットをもつインタフェースである。
  • イ:PCと周辺機器とを接続するATA仕様をシリアル化したものである。
  • ウ:音声,映像などに適したアイソクロナス転送を採用しており,ブロードキャスト転送モードをもつシリアルインタフェースである。
  • エ:スーパースピードと呼ばれる5Gビット/秒のデータ転送モードをもつシリアルインタフェースである。

基本情報技術者平成30年秋期 午前問12

USB3.0の説明として適切なものはどれか解答のア~エを順番に確認していきます。

解答ア

ア:1クロックで2ビットの情報を伝送する4対の信号線を使用し,最大1Gビット/秒のスループットをもつインタフェースである。

LANの規格である「1000BASE-T」の説明です。USB3.0の説明ではないので不正解。

解答イ

イ:PCと周辺機器とを接続するATA仕様をシリアル化したものである。

SATA(シリアルATA)の説明です。ATA仕様をシリアル化した規格はSATA(シリアルATA)です。

USB3.0の説明ではないので不正解。

解答ウ

ウ:音声,映像などに適したアイソクロナス転送を採用しており,ブロードキャスト転送モードをもつシリアルインタフェースである。

IEEE1394の説明です。アイソクロナス転送を採用し、ブロードキャスト転送モードをもつのはIEEE1394です。(USBにもアイソクロナス転送はあるが、ブロードキャスト転送モードはない)

USB3.0の説明ではないので不正解。

解答エ

エ:スーパースピードと呼ばれる5Gビット/秒のデータ転送モードをもつシリアルインタフェースである。

USB3.0の説明なので正解

USBにはLow Speed(USB 1.0)、Full Speed(USB 1.1)、Hi Spee(USB 2.0)、Super Speed(USB 3.0)、Super Speed Plus(USB 3.1、USB 3.2)の転送モードがあります。

基本情報技術者平成20年秋期 午前問24

問題

シリアルATAの特徴として,適切なものはどれか。

  • ア:SAS(Serial Attached SCSI)と双方向の互換性がある。
  • イ:デイジーチェーン接続を採用している。
  • ウ:パラレルATAとケーブル,コネクタに互換性がある。
  • エ:ホットスワップ対応が可能である。

基本情報技術者平成20年秋期 午前問24

シリアルATAの特徴として適切なものはどれか解答のア~エを順番に確認していきます。

解答ア

ア:SAS(Serial Attached SCSI)と双方向の互換性がある。

不正解です。互換性はあるが、双方向ではありません

SAS(サス)はSATA(シリアルATA)の上位互換となっており、SASコントローラにSATA接続のストレージを繋いで利用することができます。しかし、SATAコントローラにSASドライブを繋ぐことはできません。

解答イ

イ:デイジーチェーン接続を採用している。

不正解です。数珠つなぎで機器を接続するデイジーチェーン接続を採用しているのはSCSIです。

シリアルATAは、各機器と1対1で接続するポイントツーポイントの接続形態を採用しています。

解答ウ

ウ:パラレルATAとケーブル,コネクタに互換性がある。

不正解です。パラレルATAとシリアルATAのケーブル、コネクタは異なるため接続互換性はありません。

解答エ

エ:ホットスワップ対応が可能である。

正解です。

シリアルATAは、電源を入れたまま機器を抜き差しできる「ホットスワップ(ホットプラグ)」に対応しています。

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