客先常駐は帰属意識が生まれない働き方
前回の記事では「客先常駐は現場を転々とする可能性が高い」について紹介しました。本記事では客先常駐の問題点である「客先常駐は帰属意識が生まれない」について紹介していきます。
客先常駐はお客様先に常駐して働くスタイルです。その為、毎日お客様先に通勤し自社に出勤する事はほとんどありません。通常は月に1、2回の帰社日を設けて毎月の提出物や社内交流の場としています。しかし会社によっては帰社日すらない事も珍しくありません。
スポンサーリンク
このような生活を続けていると、帰属意識が徐々に薄れていきます。なぜなら1年間のほとんどがお客様先に常駐しているからです。同じ現場に自社の社員がいない場合は更に帰属意識が薄れていきます。自社の先輩や後輩とはほとんど面識がなく、1年間に1回の忘年会は知らない人ばかり。こんな状態では帰属意識が生まれないのは当たり前の事だと言えます。
会社は社員に帰属意識を持たせようと、帰社日を設けたり、飲み会を開催したり、社内行事を行ったりと色々と工夫しています。なぜ帰属意識を持たせようとするのか?それは退職者を減らすためだと考えられます。帰属意識のない社員は会社に愛着がない可能性が高いです。
好条件で転職を進められたら簡単に転職してしまう危険性があります。そうならない為にも客先常駐メインの会社は社員に帰属意識を持たせることが重要だと考えられます。
若手社員は準委任契約で先輩の配下で仕事ができる現場に入れるべき
客先常駐で帰属意識が生まれない理由は、同じ会社の人と一緒に仕事が出来ない事が理由の一つだと考えられます。客先常駐でも自社の社員で体制が組めている現場であれば、帰属意識が生まれる社員もいるはずです。
常駐先に体制が作れていれば若手社員も働きやすく、また尊敬できる上司や楽しい同僚がいる現場であれば少しは自社への愛着が湧くのではないでしょうか。
ただ現実は大手企業で十分な体制を組める会社であれば、準委任契約で請負も視野にいれながら体制での提供をしているイメージがありますが、下請けの中小企業では派遣契約がまだまだ多いイメージです。派遣契約は個人で売れるので、発注側企業と受注側企業の両方にとって都合のよい契約です。
しかし準委任契約で体制を組んで働ける現場を増やすことの方が、会社にとっても社員にとっても良い方向に向かうのではないかと考えられます。
スポンサーリンク
偽装請負という問題
偽装請負とは請負契約や準委任契約で契約しているにも関わらず派遣契約のように扱うことを言います。請負契約や準委任契約は指揮命令が受注側にあります。そのため発注側は受注側に作業指示を出すことが出来ません。
上記図は準委任契約のイメージ図です。左側が本来の形です。準委任契約は受注側に指揮命令があるので、受注側社員への作業指示は受注側のリーダーが行います。
しかし右図のように発注側社員の配下に体制が組まれ、発注側社員が作業指示を行うことがあるのです。これを偽装請負と言います。(偽装準委任契約といった方が適切な表現だと感じています)
帰属意識を持たせるために、派遣契約ではなく準委任契約にして体制で仕事ができる環境を作るべきと先ほど言いましたが、準委任契約にも関わらず、上記の右図のような体制で仕事を行う現場であれば効果はあまりないと考えられます。準委任契約は請負契約とは違い、人に対してお金が発生する契約の為、どうしても人単位で扱うイメージがあります。
請負契約や派遣契約は分かりやすい契約形態ですが、準委任契約という曖昧な契約形態が引き起こしている問題なのかもしれません。
終わりに
本記事では客先常駐の問題点である「客先常駐は帰属意識が生まれない働き方」について紹介しました。客先常駐で働いたことがある人であれば、この帰属意識の問題は感じたことがある人も多いと思います。そのくらい客先常駐という働き方は帰属意識が生まれない働き方なのです。
次回は客先常駐の問題点であるOJTについて紹介します。