客先常駐

派遣契約の客先常駐はOJTが出来ない

2019年1月27日

客先常駐はOJTが出来ない

前回の記事では「客先常駐は帰属意識が生まれない働き方」について紹介しました。本記事では客先常駐の問題点である「客先常駐はOJTが出来ない」について紹介していきます。※OJTとは現場で実務をさせることで行う従業員の教育のことを言います。

OJT
客先常駐には"派遣契約"と"準委任契約"があります。(詳細は「IT業界の客先常駐とは」)
"派遣契約"は指揮命令が雇い主側にあるので、上記図のように雇い主の客先リーダーの指示で作業することになり、プロジェクトメンバーも異なる会社の人で構成されることがあります。

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"準委任契約"は指揮命令が雇われ側にあるので、自社リーダーの指示で作業することが普通です。ただ準委任契約でも派遣契約のような扱いになっている現場もあるため、この辺りはグレーな領域だと感じています。

客先常駐でOJTが出来ない理由は、上記図の派遣契約のパターンです。指揮命令が雇い主側にあるため、教育対象の部下への指示も雇い主側のリーダーが行っていることが多いです。また教育対象の部下が同じプロジェクトに配属されれば良いのですが、別プロジェクトに配属されることも多いのが特徴です。

別プロジェクトに配属されるとOJTをするのが難しくなります。

OJTの流れ

OJTは以下の流れで行います。
  • Showでは、まずその仕事をやって見せ、仕事の全体像を理解してもらいます。説明だけで十分かもしれませんが、実際にやって見せることによりイメージを具体化することが出来ます。
  • Tellでは具体的な仕事の説明を行います。その仕事がどういう物なのか、不明点がないかを確認していきます。
  • Doでは実際に仕事を実施してもらいます。
  • CheckではDoで実施した内容を一緒に確認していきます。そして次の仕事へとつなげていきます。

 

これまでの説明でも分かる通りOJTに行うにはある程度、教育対象者と一緒に業務を行う必要があります。そして教育対象者の仕事状況を確認出来る立ち位置が必要です。雇い主側のリーダーに指揮命令がある状態だと教育対象者の面倒を見ることが難しくなります。またプロジェクトが別の場合は更に困難となります。

客先常駐メインの会社(主に派遣契約)は、現場の自社リーダーに部下のOJTを任せようとしますが、一体どんなOJTを期待しているのか疑問に残る所です。まずはOJTが出来る環境作りを整える事が客先常駐メインの会社の課題だと言えるのかもしれません。

客先常駐は社内研修の後、すぐに客先に飛ばされる可能性が高い

客先常駐メインの会社に新入社員として入社すると、社内研修の後にすぐ客先勤務になることが非常に多いです。なぜなら仕事のない本社にいても会社の売上にならないからです。

自社で請負開発を行っている会社や自社製品を作っている会社であれば、新人のOJTは社内で行うことが一般的です。しかし客先常駐をメインとしている会社では、出来る限り早く新人を客先へ常駐させようとします。もちろん客先に新人の面倒を見れる自社の先輩がいる現場に出すことが普通です。

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社内研修が終わり客先へ飛ばされた新人は、客先のリーダーまたは自社の先輩から指導を受けます。始めは簡単な評価業務などを担当することが多いイメージです。ただセンスの良い新人は1年目からプログラムを組んでいることもあります。

ここでポイントになるのが、あくまでも客先で仕事をしているという所です。新人なので単価も安く、仕事の出来も大目に見てくれますが、あまりにも評価が低ければ契約更新されずその現場は終了。

そして次の現場に移動。新人でよくある悪い例では「仕事中に寝ている」「勤怠が悪い」という2点があります。この2点は新人に限らず社会人としてやってはいけない最低限のマナーです。新人で客先に配属された場合、客先から評価される為にも自ら学ぶ姿勢が大切です。

雇い主はなぜ新人を受け入れてくるのか!?

客先常駐では新人を受け入れてくれる現場があります。3年目くらいの若手であれば戦力になると思いますが、1年目の新人はまだ戦力には数えることが出来ないのが現実です。

ではなぜ雇い主は新人を受け入れてくれるのか。それは単価が圧倒的に安い、そして単価はなかなか上がらないことが理由だと考えられます。

客先常駐で同じ現場に長いこといると、単価は徐々に上がっていきます。契約更新の際に単価交渉を行い、単価の見直しをするのが一般的です。しかし雇い主はそう簡単には単価を上げてくれません。

単価

上記図のように同じ現場で単価交渉を繰り返していると、市場の相場より安い単価になっていきます。客先常駐メインの会社としては、ある程度働いたら新しい現場に移動してほしいのが本音だと思います。雇い主は投資として単価の安い新人を受け入れ、教育し単価の安い技術者として雇い続けるのが目的の一つにあると考えられます。

終わりに

本記事では客先常駐の問題点である「客先常駐はOJTが出来ない」ことについて紹介しました。OJTについては客先常駐メインの会社にとって大きな課題だと感じています。特に1年目〜3年目くらいの退職者が多い会社は、このOJTの問題も理由の一つではないかと考えられます。

 

次回は客先常駐の問題点である部下管理能力が身につかないについて紹介します。

客先常駐は部下管理能力が身につかない

客先常駐は帰属意識が生まれない働き方

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