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パブリックチェーンとプライベートチェーンの違い

はじめに

ブロックチェーンは大きく分けて「パブリックチェーン(パブリック型)」と「プライベートチェーン(プライベート型)」に分類されます。

パブリックチェーンは、世界中の誰でもネットワークに参加できるオープンなブロックチェーンで、管理者は存在せず、自由に参加や脱退ができます。

それに対しプライベートチェーンは、参加者が限定されたブロックチェーンで、単体で管理組織が存在し、ネットワークに参加するには管理者の許可が必要です。(※複数の管理組織が存在する場合は、コンソーシアムチェーンといいます。)

本記事では、パブリックチェーンとプライベートチェーンの特徴を紹介しています。

ここがポイント

  • パブリックチェーン:管理者不在で誰でも自由に参加できるブロックチェーン
  • プライベートチェーン:管理者が存在し参加者が限定されたブロックチェーン

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ブロックチェーンとは

ブロックチェーンとは、取引データを「ブロック」という1単位にまとめて管理し、その「ブロック」を「チェーン」のように繋いで保管する技術のことです。

ブロックチェーンのイメージ例

ブロックチェーンの名前のとおり、ブロックをチェーンのようにつないで管理する技術です。

データの破壊・改ざんが極めて困難なこと、障害によって停止する可能性が低いシステムが作れるなどの特徴を持つため大きな注目を集めています。

 

従来の中央集権型のシステムは、次の図のように第三者機関が取引履歴を管理する仕組みになっています。

中央集権型のイメージ図

第三者機関が取引履歴を管理しているため、管理者がサービスを停止すればデータは消失し、管理者の都合によってデータが抹消される可能性もあります。

一方ブロックチェーンは、たとえサービス提供者であっても記録されたデータを消去できません。また参加者が自身の取引データを削除すこともできません。

次の図はブロックチェーンのイメージ例です。

ブロックチェーンのイメージ例

ブロックチェーン化された取引履歴は、特定の管理組織が存在する「中央集権型」とは異なり、複数の参加者(システム)がそれぞれ情報を共有し、常に同期される「分散型」のシステムで管理されます。

そのため、管理組織を介さずにユーザー同士で直接取引ができます。また一部のシステムが停止・故障しても、全体で情報を共有しているためシステムを維持できる仕組みになっています。

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パブリックチェーンとは

パブリックチェーン(パブリック型)とは、誰でも参加できるオープンなブロックチェーンのことです。管理者は存在せず、自由に参加や脱退ができます。

パブリックチェーンは参加者に制限がなく誰でも自由に利用できます。またブロックチェーン上に記録されている取引履歴は参加者に公開されており、透明性が高いのも特徴です。

次の図はパブリックチェーンのイメージ例です。

パブリックチェーンのイメージ図

ブロックチェーンを発明した「サトシ・ナカモト」が提唱したブロックチェーンの基本形ともいえるモデルで、単に「ブロックチェーン」というときは、このパブリックチェーンを指します。

 

パブリックチェーンのメリット・デメリット

パブリックチェーンのメリットとして「公共性の高さ」と「透明性の高さ」が挙げられます。

パブリックチェーンは世界中の誰でも参加できるオープンなネットワークです。管理者が存在していないため、ネットワークの参加者たちでブロックチェーンを管理していく仕組みになっています。

また、ブロックチェーン上に記録されている取引履歴は参加者に公開されており、透明性が高いのが特徴です。

 

パブリックチェーンのデメリットは「取引の承認作業に時間がかかる」ことです。

管理者不在のパブリックチェーンでは、取引内容が正しいかどうか検証する仕組みが必要です。この仕組みを「コンセンサスアルゴリズム」といいます。

コンセンサスアルゴリズムの例

暗号資産で有名なビットコインは「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」、イーサリアム2.0は「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」と呼ばれるコンセンサスアルゴリズムを採用しています。

コンセンサスアルゴリズムに基づいて正しいと判断されたとき、はじめてブロックチェーンの最後尾にブロックが追加される仕組みになっています。

そして、この承認作業はブロックチェーンの参加者(誰が実施するか・どう実施するかはコンセンサスアルゴリズムが決める)が行います。

 

特定の管理者がいないことで、管理者によって一方的にルールを変更されたり、データが「改ざん」されたりすることがなく、透明性の高い分散化されたシステムが構築できます。

ただ誰でも参加できるということは、取引の数が膨大になり、承認作業に時間がかかってしまうという懸念もあります。

パブリックチェーンの代表事例

2008年に「サトシ・ナカモト」という名前を使った人物(またはグループ)が、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの公開取引台帳としての役割を果たすために発明したのがブロックチェーンです。

そのため、ビットコインをはじめとした暗号資産(仮想通貨)のほとんどが、パブリックチェーンを利用しています。

また、ゲームにも活用されはじめ、CryptoGames社は、日本最大級のブロックチェーンゲーム「CryptoSpells(クリプトスペルズ)」を2019年6月にリリースしています。

その他にもブロックチェーンを使用した身分証システムや、食品流通(食品が消費者に届くまでの取引を管理)分野などでも活用されています。

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プライベートチェーンとは

プライベートチェーン(プライベート型)とは、単体で管理組織が存在し、参加者が限定されたブロックチェーンのことです。

プライベート型のブロックチェーンネットワークに参加するには管理者の許可が必要です。

次の図はプライベートチェーンのイメージ例です。

プライベートチェーンのイメージ図

プライベートチェーンのメリット・デメリット

プライベートチェーンのメリットとして「ルール変更が簡単」「取引承認が速い」「プライバシー保護性の高さ」が挙げられます。

プライベートチェーンは、パブリックチェーンに比べると透明性・公共性は低く、中央集権的な要素が含まれていますが、参加者が限定されているため、取引の承認はスムーズです。

またパブリックチェーンでは単独でルールを変えることはできず、参加者の一定数以上の合意があった場合にのみ変更可能となるため、合意形成までに数か月も時間を要することがあります。

それに比べプライベートチェーンでは、企業や組織の決定権を持つ少数の承認を得られればルール変更が可能です。

プライベートチェーンの最大のメリットは、秘匿性の高い情報を扱えることが挙げられます。企業が扱うデータには、個人情報が含まれていることがあり、不特定多数の参加者全員にブロックチェーンを公開するパブリックチェーンで取り扱うのは難しいものがあります。

その点プライベートチェーンであれば、ブロックチェーンネットワークの参加者を限定(参加には管理者の許可が必要)できるので、情報を公開する人を制限できます。

 

プライベートチェーンのデメリットは「透明性・公共性が低い」ことです。

誰でも参加できるパブリックチェーンとは違い、ネットワークに参加するためには、管理者の許可が必要です。

限られた参加者でブロックチェーンを管理しているため透明性・公共性は低くなっています。

プライベートチェーンの代表事例

プライベートチェーンの用途は、企業単体や組織内、たとえば金融機関などにおいて取引を記録する際に用いられます。

例えば、IBMが提供している「Hyperledger Fabric」では、許可制のネットワーク内で機密性の高い取引を可能にしています。

このように、プライベートチェーンは一般向けではなく企業向けのネットワークとして活用されています。

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