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【基本情報技術者試験】バックアップ方式(差分バックアップ・増分バックアップ)

2024年4月22日

今回のテーマはバックアップの方式についてです。

フルバックアップとかですか?

問題

バックアップ方式の説明のうち,増分バックアップはどれか。ここで,最初のバックアップでは,全てのファイルのバックアップを取得し,OSが管理しているファイル更新を示す情報はリセットされるものとする。

  • ア:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。
  • イ:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。
  • ウ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。
  • エ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。

基本情報技術者令和元年秋期 午前問19

問題

次の仕様のバックアップシステムにおいて,金曜日に変更されたデータの増分バックアップを取得した直後に磁気ディスクが故障した。修理が完了した後,データを復元するのに必要となる時間は何秒か。ここで,増分バックアップは直前に行ったバックアップとの差分だけをバックアップする方式であり,金曜日に変更されたデータの増分バックアップを取得した磁気テープは取り付けられた状態であって,リストア時には磁気テープを1本ごとに取り替える必要がある。また,次の仕様に示された以外の時間は無視する。

[バックアップシステムの仕様]

バックアップ媒体磁気テープ(各曜日ごとの7本を使用)
フルバックアップを行う曜日毎週日曜日
増分バックアップを行う曜日月曜日~土曜日の毎日
フルバックアップのデータ量100Gバイト
磁気テープからのリストア時間10秒/Gバイト
磁気テープの切替え時間100秒/本
変更されるデータ量5Gバイト/日

ア:1,250 イ:1,450 ウ:1,750 エ:1,850

基本情報技術者平成25年春期 午前問21

基本情報技術者試験で出題される「バックアップ方式」の問題。過去問を見ると難しく感じますが、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップの意味を知っていれば、難しい問題ではありません。

本記事では、「フルバックアップ」「差分バックアップ」「増分バックアップ」について解説します。

本記事で学べること

  • フルバックアップについてを理解する
  • 差分バックアップについて理解する
  • 増分バックアップについて理解する
  • 基本情報技術者試験の過去問の解き方を学ぶ

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バックアップの方式

バックアップとは、災害やハードウェア故障、誤操作によるデータ消失などから、システムやデータを復旧させるためのコピー情報のことです。

バックアップを取っておけば、「データが消えてしまった」「機器が故障してしまった」などのトラブルが発生しても、バックアップを取得した時点のデータに復旧できます。

様々なトラブルからデータを守るには、バックアップを取っておくことが大切です。

バックアップには、「フルバックアップ」「差分バックアップ」「増分バックアップ」という方式があります。

フルバックアップ

フルバックアップとは、必要なデータを全てバックアップすることです。

1回のバックアップに全てのデータが含まれているので、障害発生時は、直前のバックアップを使えば、バックアップを取得した時点のデータに復旧できます。

フルバックアップ

フルバックアップは、毎回すべてのデータをバックアップするので、バックアップを取得するのに時間がかかり大容量の記憶媒体が必要です。

差分バックアップ

差分バックアップとは、前回のフルバックアップ以降に作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式のことです。

フルバックアップを使えば、フルバックアップを取得した時点のデータにもどせますが、フルバックアップ以降の変更が反映できません。

フルバックアップは、すべてのデータをバックアップするので、バックアップに要する時間が長く、さらに容量も大きくなるので、頻繁に取得するものではありません。

そこで、差分バックアップを使います。

差分バックアップ

差分バックアップは、前回のフルバックアップ以降に作成(または更新)されたデータだけをバックアップするので、障害発生時は、直前のフルバックアップと最後の差分バックアップ使って、データを復元します。

差分バックアップは、最低1回はフルバックアップが必要です。フルバックアップを取得した後は、フルバックアップ以降に変更されたデータのみを差分バックアップとして取得します。

フルバックアップに比べ、バックアップに要する処理時間が短く、データ容量も節約できます。

増分バックアップ

増分バックアップとは、前回のバックアップ以降に作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式のことです。

差分バックアップは、前回のフルバックアップ以降の差分を取得していましたが、増分バックアップでは、バックアップの種類は関係なく、前回のバックアップ以降の差分を取得します。

増分バックアップ

障害発生時は、直前のフルバックアップとフルバックアップ以降に取得したすべての増分バックアップを使ってデータを復元します。

増分バックアップは、最低1回はフルバックアップが必要です。フルバックアップを取得した後は、バックアップの種類に関係なく、前回のバックアップ以降に変更されたデータのみを増分バックアップとして取得します。

そのため、差分バックアップより、バックアップに要する処理時間が短く、データ容量も節約できます。

基本情報技術者試験 過去問の解説

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基本情報技術者令和元年秋期 午前問19

問題

バックアップ方式の説明のうち,増分バックアップはどれか。ここで,最初のバックアップでは,全てのファイルのバックアップを取得し,OSが管理しているファイル更新を示す情報はリセットされるものとする。

  • ア:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。
  • イ:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。
  • ウ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。
  • エ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。

基本情報技術者令和元年秋期 午前問19

増分バックアップの説明として,適切なものはどれか、ア~エを順番に確認していきます。

ここがポイント

設問の「最初のバックアップでは,全てのファイルのバックアップを取得し」と書かれているので、最初のバックアップはフルバックアップであることがわかります。

ア:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。

不正解:差分バックアップの説明です。フルバックアップ以降に、作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式は「差分バックアップ」です。

イ:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。

不正解:フルバックアップの説明です。全ての情報をバックアップする方式は「フルバックアップ」です。

ウ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。

正解:増分バックアップの説明です。直前のバックアップ以降に、作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式は「増分バックアップ」です。

エ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。

不正解:フルバックアップの説明です。全ての情報をバックアップする方式は「フルバックアップ」です。

「ウ」が正解です。

基本情報技術者平成25年春期 午前問21

問題

次の仕様のバックアップシステムにおいて,金曜日に変更されたデータの増分バックアップを取得した直後に磁気ディスクが故障した。修理が完了した後,データを復元するのに必要となる時間は何秒か。ここで,増分バックアップは直前に行ったバックアップとの差分だけをバックアップする方式であり,金曜日に変更されたデータの増分バックアップを取得した磁気テープは取り付けられた状態であって,リストア時には磁気テープを1本ごとに取り替える必要がある。また,次の仕様に示された以外の時間は無視する。

[バックアップシステムの仕様]

バックアップ媒体磁気テープ(各曜日ごとの7本を使用)
フルバックアップを行う曜日毎週日曜日
増分バックアップを行う曜日月曜日~土曜日の毎日
フルバックアップのデータ量100Gバイト
磁気テープからのリストア時間10秒/Gバイト
磁気テープの切替え時間100秒/本
変更されるデータ量5Gバイト/日

ア:1,250 イ:1,450 ウ:1,750 エ:1,850

基本情報技術者平成25年春期 午前問21

フルバックアップは日曜日で、月曜日~土曜日は増分バックアップを行っているので、ディスクの復旧は次の手順で行います。

  • 日曜日の磁気テープで、フルバックアップした時の状態にもどす。
  • 月曜日~金曜日の磁気テープで、増分バックアップの内容をディスクに反映させる。(磁気ディスクが故障したのは金曜日なので、月曜日~金曜日の増分バックアップを反映させる)
増分バックアップのイメージ図

まずは日曜日の磁気テープ(フルバックアップ)の内容を、ディスクに書き戻すために要する時間を求めます。

設問に「リストア時には磁気テープを1本ごとに取り替える必要がある」と書かれているので、磁気テープの切替え時間とリストア時間の合計を求めます。(リストアにかかる時間は1Gで10秒)

フルバックアップの状態に戻すために必要な時間

  • 磁気テープの切替え時間:100秒
  • リストアに要する時間:100G × 10秒

100秒 + 100G × 10秒 = 1,100秒

ちなみにリストアとは、バックアップしたデータを使って、元の状態に戻すことです。

続いて月曜日~金曜日の増分バックアップをディスクに反映する時間を求めます。

増分バックアップを反映するために必要な時間

  • 磁気テープの切替え時間:100秒
  • リストアに要する時間:5G × 10秒

(100秒 + 5G × 10秒) × 5日 = 750秒

最後に「フルバックアップの状態に戻すために必要な時間」と「増分バックアップを反映するために必要な時間」を合算します。

1,100秒 + 750秒 = 1,850秒

以上より、データを復元するのに必要な時間は、1,850秒と求められました。

「エ」が正解です。

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