ルーティング
ネットワーク上での通信の仕組みは宅配便の仕組みと非常に似ています。
宅配便は、まず「届け先住所」に近い営業所へと荷物が送られます。そして営業所から「届け先住所」へと荷物を届ける流れです。
ネットワーク上での通信も宅配便の仕組みと似ています。ルータ(もしくはL3スイッチ)と呼ばれるネットワーク機器が「宛先IPアドレス」を見て、宛先に近いルータへとデータを転送します。(※ルータは営業所のイメージ)
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そして宛先に近いルータから「宛先IPアドレス」が設定されているコンピュータへとデータを送ります。
このとき、どこのルータに送るのが目的地までの最適経路なのかを判断する仕組みをルーティング(routing)といいます。
例えば、ネットワークAに所属している「PC1」が、ネットワークCに所属している「PC3」にデータを送るとします。
この時「PC1」はデフォルトゲートウェイに設定されている「ルータA」にデータを送信します。「ルータA」からの経路には「ルータB」と「ルータC」の2通りの経路が存在しています。
「ルータA」はルーティングテーブルと呼ばれる経路情報を参照し、「PC3」がどのネットワークにいるのかをIPアドレスから判断し、最適な経路にデータを転送します。
上記図では「PC3」はネットワークCに所属しているので、「ルータC」にデータを転送しています。
目的地である「PC3」を管理している「ルータC」まで、データが届いたので、後は「ルータC」から「PC3」へデータを送ります。
このように、ルータがルーティングテーブルを参照し最適な経路を導き出す仕組みを「ルーティング」といいます。
ポイント
ルーティングとは、目的地までの最適ルートを案内してくれる仕組み。
ルーティングテーブル
ルータ(もしくは L3スイッチ)が目的地までの最適ルートを導き出す際に使用するのが「ルーティングテーブル」です。
ルーティングテーブルは主に「宛先ネットワークアドレス」「その経路を使う際のコスト」「その経路を使う際、最初に送る相手のアドレス」「その経路が追加されてからの経過時間」などの情報を保持しています。
そして、新しいネットワークグループが追加になった場合、各ルータが管理している「ルーティングテーブル」にも新しい経路を追加してあげなければいけません。
例えば、古いカーナビを使っていると新しい道が登録されておらず、目的地まで最適なルートで到着することができません。それと同じで「ルーティングテーブル」も常に新しい情報に書き換えてあげる必要があるのです。
この新しい情報に書き換える方法には「スタティックルート」と「ダイナミックルート」が存在します。
スタティックルーティング
スタティックルートとは、管理者が目的地までの最適なルートを手動で「ルーティングテーブル」に設定したルートのことです。
そして、設定された静的ルートを使いデータを転送することをスタティックルーティング(static routing:静的ルーティング)と呼ばれています。
ポイント
スタティックルート:手動でルーティングテーブルを更新
ダイナミックルーティング
ダイナミックルートとは、ルーティングプロトコルを利用しルータ同士がお互いに経路情報を交換しあい、自動的に「ルーティングテーブル」を更新して作られたルートことです。
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そして、設定された動的ルートを使いデータを転送することをダイナミックルーティング(dynamic routing:動的ルーティング)と呼ばれています。
ポイント
ダイナミックルート:自動でルーティングテーブルを更新
ルーティングプロトコル
ダイナミックルーティングにより、自動でルーティングテーブルを最新化するためには、ルーティングプロトコルを使用します。
ルーティングプロトコルとは、ルータ同士がお互いに経路情報を交換しあう際のルールです。
ルーティングプロトコルの種類
ルーティングプロトコルは、大きく分けて2種類に分かれます。自律システム(AS)間でのルーティングと自律システム(AS)内でのルーティングです。
自律システム(AS)とは、ネットワークの集合体(グループ)のことで、企業やプロバイダなどが当てはまります。
自律システム間(AS)で使われているルーティングプロトコルはEGP(Exterior Gateway Protocol)と呼ばれ,一方の自律システム内(AS)で使われているルーティングプロトコルはIGP(Interior Gateway Protocol)と呼ばれています。
また、EGPとIGPには次のような種類のルーティングプロトコルが存在します。
名称 | 種類 |
EGP | EGP (Exterior Gateway Protocol) |
BGP (Border Gateway Protocol) | |
IGP | RIP (Routing Information Protocol) |
OSPF (Open Shortest Path First) | |
IS-IS (Intermediate Sysytem to Intermediate Sysytem) | |
IGRP (Interior Gateway Routing Protocol) | |
EIGRP (Enhanced Interior Gateway Routing Protocol) |