目次
NAT(Network Address Translation)
NAT(Network Address Translation:ネットワークアドレス変換)とは、IPアドレスを変換する技術です。具体的には「プライベートIPアドレス」を「グローバルIPアドレス」に変換します。
上記図は左側が「プライベートネットワーク」、右側が「インターネット」をあらわしています。「プライベートネットワーク」と「インターネット」の間にはブロードバンドルータがあり、インターネットサービスプロバイダ(ISP)を利用しているとよくある一般的な形です。
プライベートネットワーク内のコンピュータには「プライベートIPアドレス」、インターネット上での通信には「グローバルIPアドレス」が使用されます。
この「プライベートIPアドレス」と「グローバルIPアドレス」を変換する仕組みがNAT(Network Address Translation)です。
スポンサーリンク
グローバルIPアドレスとは
グローバルIPアドレスとは、インターネット上で通信するために使用するIPアドレスです。
グローバルIPアドレスは、インターネット上で通信しているコンピュータ(ネットワーク機器)を識別するためのアドレスであり、世界中で必ず一意(重複してはいけない)な値が設定されます。
プライベートIPアドレスとは
プライベートIPアドレスとは、家庭や会社などの組織内のネットワーク(プライベートネットワーク)でのみ使用されるIPアドレスです。
プライベートネットワーク内であればプライベートIPアドレスで通信することができます。しかし、プライベートIPアドレスでは、インターネット上で通信はできません。
プライベートIPアドレスが登場した背景には、IPv4の「IPアドレス枯渇問題」があります。IPアドレス枯渇問題とは、IPアドレスの数が足りなくなるという問題です。
世界中で重複しないように割り当てる必要があるグローバルIPアドレスとは違い、プライベートIPアドレスは、組織内(プライベートネットワーク)で重複しなければよいのです。
上記図のように「プライベートネットワークA」と「プライベートネットワークB」のコンピュータには同じプライベートIPアドレスが付与されています。このようにIPアドレスを節約できる仕組みがプライベートIPアドレスです。
ネットワークアドレス変換(NAT:Network Address Translation)の仕組み
NATの仕組みは、プライベートネットワーク内のコンピュータがインターネット上にアクセスする際に、「プライベートネットワーク」と「インターネット」の間にあるブロードバンドルータが「プライベートIPアドレス」を「グローバルIPアドレス」に変換します。
プライベートIPアドレスでは、インターネット上で通信はできません。NAT機能でプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換することでインターネットに接続することができます。
スポンサーリンク
ただし、NAT機能はあくまでもプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを1対1で変換するもの。同時にアクセスしたい場合は、端末の数だけグローバルIPアドレスが必要です。
この問題点を解消したアドレス変換の仕組みがNAPT(Network Address Port Translation)です。
NAPT(Network Address Port Translation)
NAPT(Network Address Port Translation)とは、NATの問題点を解消したネットワークアドレス変換技術です。別名 PAT(Port Address Translation)や IPマスカレードと呼ばれています。
NATの仕組みでは「プライベートIPアドレス」を「グローバルIPアドレス」に変換していました。
NATの問題を解消したNAPTでは、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの1対1の変換に加え、ポート番号も変換してプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを多対1に変換することを可能としています。
上記のイメージ図では、次の通りにアドレス変換し複数のコンピュータがインターネットに接続しています。
変換前のプライベートIPアドレス | 変換後のグローバルIPアドレス | 変換後のポート番号 |
192.168.10.2 | 202.10.101.11 | 20000 |
192.168.10.3 | 202.10.101.11 | 20001 |
※IPアドレスとポート番号はあくまでも例です。