目次
IPアドレス
IPアドレスとは、インターネット上のコンピュータの住所です。インターネットに繋がっている機器には、必ずIPアドレスが付与されます。
スポンサーリンク
インターネット上でデータはどうやって送られているの?
例えば、「メールを送る」「LINEでやり取りする」「ネットショップで商品を購入する」などの操作を行った時、どのようにデータの送受信が行われているのでしょうか。
実は、宅配便のイメージと同じなのです。
宅配物が無事相手に届くには「送り元の住所」と「届け先の住所」の情報が必要です。
宅配便の流れは以下
- まず「送り元の住所」に近い営業所に集められる。(上図では東京営業所)
- 次に「届け先の住所」を見て、届け先の住所に近い営業所へ送る。(上図では大阪営業所)
- 最後に営業所から「届け先の住所」に届ける。
では、インターネット上でのデータの送受信の仕組みを見てみます。
宅配物を相手に届けるには、「送り元の住所」と「届け先の住所」が必要でした。
この住所がネットワークの世界では「IPアドレス」です。コンピュータ(ネットワーク機器)がネットワークに接続するためには、必ずユニーク(重複しない値)なIPアドレスが割り当てられるのです。
コンピュータ(ネットワーク機器)によるデータ送受信の流れは次の通りです。
- まず「送信元IPアドレス」に近いルーターと呼ばれるネットワーク機器(宅配の営業所と同じ役割)にデータを送信。
- 次にルーターが「送信先IPアドレス」を見て、「送信先IPアドレス」に近いルーターへ送る。
- 最後にルーターから「送信先IPアドレス」が付与されているコンピュータ(ネットワーク機器)に届ける。
このようにインターネット上で行われているデータ送受信の仕組みは、宅配便とほとんど同じなのです。人がやっている事を、ネットワーク機器(ルータ)を使い自動で行っているのです。
IPアドレスの仕組み
スポンサーリンク
IPアドレスは誰が管理しているの?
IPアドレスは、インターネット上にあるコンピュータ(ネットワーク機器)の住所です。そのため、IPアドレスは重複しないように割り当てられています。
このインターネット上での通信で欠かせない「IPアドレス」を管理しているのはICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という非営利法人です。
ただし、全世界の情報をICANNで全て管理するわけではなく、ICANNの下には北米、アジア、ヨーロッパなどの地域単位で管理する「RIR」、そしてその下には国単位で管理する「NIR」、最後にインターネットサービスプロバイダ(ISP)等の「LIR」が存在します。
「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」の違い
IPアドレスには「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」が存在します。
グローバルIPアドレスとは、インターネットに接続するために必要なIPアドレス、プライベートIPアドレスとは、家庭や会社などの組織内のネットワーク(プライベートネットワーク)でのみ使用されるIPアドレスです
プライベートIPアドレスが登場した背景には、IPv4の「IPアドレス枯渇問題」があります。IPアドレス枯渇問題とは、IPアドレスの数が足りなくなるという問題です。
そこで、すべてのコンピュータがインターネットへアクセスできる必要はないという概念のもとに、組織内のコンピュータには一定の範囲のIPアドレスをプライベートIPアドレスとして割り当てるという仕組みが生まれました。
世界中で重複しないように割り当てる必要があるグローバルIPアドレスとは違い、プライベートIPアドレスは、組織内(プライベートネットワーク)で重複しなければよいのです。
上記図のように「プライベートネットワークA」と「プライベートネットワークB」のコンピュータには同じプライベートIPアドレスが付与されています。このようにIPアドレスを節約できる仕組みがプライベートIPアドレスです。
ただし、プライベートIPアドレスではインターネット上で通信はできません。そのためインターネットに接続するために、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する技術を使いインターネットに接続する必要があります。このIPアドレスを変換する技術のことをNAT(Network Address Translation)といいます。
IPアドレスの定義
クラスフル方式
IPアドレスはネットワーク部とホスト部の2つで構成されています。
ネットワーク部は、どのネットワークに属しているかを示すアドレスであり、ホスト部はネットワーク内のホストに割り当てられたアドレスです。
従来のIPアドレスは「クラスフル方式」を採用していたため、ネットワーク部とホスト部が固定されていました。
クラス | アドレスの範囲 | ネットワーク部の範囲 | 割り当て可能なホスト数 |
クラスA | 0.0.0.0 - 127.255.255.255 | 先頭8ビット | 16777214個 |
クラスB | 128.0.0.0 - 191.255.255.255 | 先頭16ビット | 65534個 |
クラスC | 192.0.0.0 - 223.255.255.255 | 先頭24ビット | 254個 |
そのため、例えば100台分のIPアドレスが必要な企業が「クラスC」を使用した場合、154個のIPアドレスが無駄(254 - 100 = 154)になってしまいます。
そこで登場したのが「クラスレス方式」です。クラスレス方式では、サブネットマスクを使用して「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を自由に変更することを可能とした方式です。
クラスレス方式
クラスレス方式とは、サブネットマスクを使い「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を自由に変更することを可能とした方式です。
サブネットマスクは、上記図の例のように10進数では「255.255.255.0」のように表記、2進数では「1」と「0」で表現します。
サブネットマスクが「1」の部分が「ネットワーク部」、「0」の部分がホスト部です。
例えば、先ほどと同様に100台分のIPアドレスが必要な企業が「クラスC」の「192.168.1.0」のネットワークを割り当てられたとします。(サブネットマスクは255.255.255.0)
その場合、コンピュータに使用できるIPアドレスは254個(192.168.1.1~192.168.1.254)です。
その結果、154個のIPアドレスが無駄(254 - 100 = 154)になってしまいます。
では「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を右へ1つずらしてみます。
そうするとサブネットマスクが「255.255.255.0」→「255.255.255.128」に変わります。その場合、コンピュータに使用できるIPアドレスは126個(192.168.1.1~192.168.1.126)です。
その結果、26個(126 - 100 = 26)のIPアドレスが無駄になるだけで済みました。(※予備用と考えると無駄ではない)
このように、サブネットマスクを利用して「ネットワーク部」と「ホスト部」の境界を自由に変更して、ホストに割り当てるIPアドレスの数を調整するのが「クラスレス方式」です。
プライベートIPアドレスの範囲
プライベートIPアドレスは範囲が決まっています。自身のコンピュータに設定されているIPアドレスが以下の範囲内であれば「プライベートIPアドレス」です。
クラス | 範囲 |
クラスA | 10.0.0.0~10.255.255.255 |
クラスB | 172.16.0.0~172.31.255.255 |
クラスC | 192.168.0.0~192.168.255.255 |
スポンサーリンク
IPv4とIPv6の違い
IPアドレスの主なバージョンには、IPv4とIPv6が存在します。IPv6は、IPアドレスの主要バージョンであるIPv4が足りなくなるという「IPアドレス枯渇問題」があり、登場したバージョンです。
IPv4では使用可能なIPアドレスが約 2の32乗(約43億)個であったが、IPv6では約 2の128乗(約340澗)個が使用可能です。
IPv6のIPアドレスは128ビットで表現され、16ビット単位でコロン(:)で区切り、十六進法で表記します。
IPv6の表記例は次の通り。
(例)301a:10b8:bd01:0112:188a:1fc0:1001:10aa
IPアドレスの調べ方
Windows上で自身のIPアドレスを調べるには、コマンドプロンプトを起動し「ipconfig」コマンドで調べることができます。
ブロードバンドルータなどを介してインターネットに接続している場合、「ipconfig」コマンドで表示されるIPアドレスのほとんどは「プライベートIPアドレス」です。ただし、ブロードバンドルータなど介していない場合は、グローバルIPアドレスが表示されます。