目次
トークンパッシング
トークンパッシング(英:token passing)とは、ネットワークのアクセス制御方式のひとつで、データの送信権をあらわす「トークン」と呼ばれる特殊なデータを回線上に常時周回させる方式のことです。
多数のコンピュータが一本の信号線を共有するネットワークでは、同時に複数のコンピュータがデータを送信することで、衝突(コリジョン)が発生する可能性があります。
次の図は、リング型ネットワークで発生する衝突のイメージ例です。
トークンパッシングでは、この衝突(コリジョン)を避けるために「トークン」を使います。
トークンパッシングは、イーサネットなどで用いられる「CSMA/CD」と並び、著名なアクセス方式のひとつであり、リング型の接続形態を用いる「トークンリング」、バス型の「トークンバス」、光ファイバーを利用するFDDI(Fiber Distributed Data Interface)などで採用されていました。
トークンパッシングの流れ
それでは、トークンパッシングの流れを説明します。(今回の例では、リング型の接続形態を用いて説明しています)
【手順1】フリートークンが回線上を周回
トークンパッシングでは、データの送信権をあらわすトークン(フリートークン)と呼ばれる特殊なデータが回線上を常に周回しています。
【手順2】フリートークンを取得する
データを送信したい場合は、回線上を周回しているトークン(フリートークン)を取得します。
【手順3】ビジートークンを送信
トークンを取得したコンピュータは、トークンにデータと宛先を付加して、相手に送ります。
このとき、トークン(フリートークン)はビジートークンに変わります。
回線上にデータの送信権をあらわすトークン(フリートークン)が流れていない状態です。そのため、他のコンピュータはデータを送信できません。
【手順4】ビジートークンを取り込む
各コンピュータは、ビジートークンが自分宛か確認します。
- 自分宛ではない:次へ送る
- 自分宛である:ビジートークンを取り込む
【手順5】送信元にビジートークンを返却する
自分宛のビジートークンを取り込んだコンピュータは、データを取得して、送信元にビジートークンを返却します。
【手順6】送信元がビジートークンを取り込む
宛先のコンピュータから返信されたビジートークンを、送信元のコンピュータが取り込みます。
【手順7】フリートークンに戻す
送信元は、ビジートークンをトークン(フリートークン)に戻して、回線上に送信します。
回線上にデータの送信権をあらわすトークン(フリートークン)が流れるようになったので、他のコンピュータが送信可能な状態に変わりました。