問題
RAID5の記録方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア:複数の磁気ディスクに分散してバイト単位でデータを書き込み,さらに,1台の磁気ディスクにパリティを書き込む。
- イ:複数の磁気ディスクに分散してビット単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクにエラー訂正符号(ECC)を書き込む。
- ウ:複数の磁気ディスクに分散してブロック単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクに分散してパリティを書き込む。
- エ:ミラーディスクを構成するために,磁気ディスク2台に同じ内容を書き込む。
基本情報技術者平成29年秋期 午前問12
問題
4Tバイトのデータを格納できるようにRAID1の外部記憶装置を構成するとき,フォーマット後の記憶容量が1Tバイトの磁気記憶装置は少なくとも何台必要か。
ア:4 イ:5 ウ:6 エ:8
基本情報技術者平成29年春期 午前問11
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験で出題される「RAID」の問題。聞きなれない言葉のため難しく感じてしまう問題ですが、RAIDを理解してしまえばそこまで難しい問題ではありません。
本記事では、RAIDについて分かりやすく図解で解説しています。
本記事で学べること
- RAIDについて理解する
- RAIDの種類とその動きについて理解する
- 基本情報技術者試験の過去問の解き方を学ぶ
目次
RAIDとは
RAIDとは、複数のハードディスクを1台のハードディスクとして運用する技術のことであり、ハードディスクの高速化と信頼性の向上を目的としています。
コンピュータが利用するハードディスクは、CPUやメモリに比べると処理速度が遅い、破損すると保存してあるデータが失われる可能性があるという2つの課題があります。
そこで考えられた方法のひとつがRAIDという技術であり、RAIDを利用することで処理速度の高速化と、信頼性の向上(ハードディスクが破損してもデータを失わずそのまま継続稼働することができる)が期待できます。
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RAIDの種類
RAIDには、RAID0~RAID6が存在します。また、RAID0とRAID1を組み合わせたRAID10(RAID1+0)などもあります。
RAID0~RAID6の特徴は次のとおりです。
RAIDの種類 | ストライピング (ストライピングの単位) | ミラーリング | 誤り訂正符号 (ディスクの構成) |
RAID0 | する(ブロック) | しない | - |
RAID1 | しない | する | - |
RAID2 | する(ビット) | しない | ハミング(ディスク固定) |
RAID3 | する(ビット/バイト) | しない | パリティ(ディスク固定) |
RAID4 | する(ブロック) | しない | パリティ(ディスク固定) |
RAID5 | する(ブロック) | しない | パリティ(ディスク分散) |
RAID6 | する(ブロック) | しない | パリティ(ディスク分散) |
RAID0
RAID0はデータを分割し、複数台のディスクに分散して読み書きを行います。この処理のことを「ストライピング」といいます。
次の図はRAID0(ストライピング)のイメージ例です。データを分割し2台のディスクに分散して書き込んでいます。
RAID0はデータを分散して書き込むため高速性に優れているが、1台でも故障するとデータを復旧できないので信頼性は低いです。
RAID1
RAID1は複数台のディスクに対して同時に同じ内容を書き込みます。この処理のことを「ミラーリング」といいます。
次の図はRAID1(ミラーリング)のイメージ例です。2台のディスクに対して同じデータを書き込んでいます。
RAID1は高速化は望めないが、複数台のディスクに同じデータがある状態(故障したディスクは新しいディスクに交換する)なので信頼性は高いです。しかし、同じデータを書き込むため使用できるディスク容量は半分以下です。
RAID5
RAID5は3台以上のディスクにデータと同時にパリティと呼ばれる誤り訂正符号も分散させて書き込みます。
次の図はRAID5のイメージ例です。データと同時にパリティを複数のディスクに分散して書き込んでいます。
RAID5では、いずれか1台のディスクが故障したとしても、パリティ情報を使ってデータを復元することができます。
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上記図では「データ1」と「データ2」のパリティを「ディスク3」に、「データ3」と「データ4」のパリティを「ディスク2」に保存しています。このように分散してパリティを書き込むことで、例えば、「ディスク1」が故障した場合、「データ1」は「ディスク3」にあるパリティ情報から復元、「データ3」は「ディスク2」のパリティ情報から復元することができます。
RAID2
RAID2はハミング符号と呼ばれる誤り訂正符号(ECC)を使用します。(データ記録用のディスク2台と誤り訂正符号用ディスク装置3台が最小の構成)
ハミング符号の計算は複雑で時間もかかるため、RAID2は実用性がなく、製品として扱われることはほとんどありません。
RAID3、RAID4
RAID3、RAID4はRAID5と同じパリティと呼ばれる誤り訂正符号を使用します。(データ記録用のディスク2台とパリティ用ディスク装置1台が最小の構成)
RAID5との違いは、RAID3とRAID4ではパリティを分散させるのではなく、パリティ専用のディスクに書き込みます。
そのため、パリティ専用ディスクにアクセスが集中し、性能上のボトルネックとなり消耗が激しく寿命も低下します。その結果 RAID3、RAID4はあまり利用されることはなく、RAID5に代替えされています。
RAID6
RAID5は1台のディスクが故障してもパリティ情報から復元できるが、2台のディスクが同時に故障した場合は復元できません。
RAID6はRAID5を拡張したもので、2種類のパリティを分散させてディスクに書き込みます。その結果、2台のディスクが同時に故障しても復元可能です。
RAID10(RAID1+0)
RAID10(もしくはRAID1+0)は、RAID0とRAID1を組み合わせたものであり、最低4台のディスクが必要です。
高速に処理できるRAID0と信頼性の高いRAID1を組み合わせることにより、速度、容量、信頼性の向上を図ることができます。
基本情報技術者試験 過去問の解説
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基本情報技術者平成29年秋期 午前問12
問題
RAID5の記録方式に関する記述のうち,適切なものはどれか。
- ア:複数の磁気ディスクに分散してバイト単位でデータを書き込み,さらに,1台の磁気ディスクにパリティを書き込む。
- イ:複数の磁気ディスクに分散してビット単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクにエラー訂正符号(ECC)を書き込む。
- ウ:複数の磁気ディスクに分散してブロック単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクに分散してパリティを書き込む。
- エ:ミラーディスクを構成するために,磁気ディスク2台に同じ内容を書き込む。
基本情報技術者平成29年秋期 午前問12
RAID5の記録方式に関する記述のうち、適切なものはどれか解答のア~エを順番に確認していきます。
解答ア
■複数の磁気ディスクに分散してバイト単位でデータを書き込み,さらに,1台の磁気ディスクにパリティを書き込む。
不正解:RAID3の説明です。バイト単位でデータを書き込み、固定のディスクにパリティを書き込むのはRAID3です。
解答イ
■複数の磁気ディスクに分散してビット単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクにエラー訂正符号(ECC)を書き込む。
不正解:RAID2の説明です。ビット単位でデータを書き込み、複数のディスクにエラー訂正符号(ハミング符号)を書き込むのはRAID2です。
解答ウ
■複数の磁気ディスクに分散してブロック単位でデータを書き込み,さらに,複数の磁気ディスクに分散してパリティを書き込む。
正解:RAID5の説明です。ブロック単位でデータを書き込み、複数のディスクに分散してパリティを書き込むのはRAID5です。
解答エ
■ミラーディスクを構成するために,磁気ディスク2台に同じ内容を書き込む。
不正解:RAID1の説明です。ディスク2台に同じ内容を書き込む(ミラーリング)のはRAID1です。
基本情報技術者平成29年春期 午前問11
問題
4Tバイトのデータを格納できるようにRAID1の外部記憶装置を構成するとき,フォーマット後の記憶容量が1Tバイトの磁気記憶装置は少なくとも何台必要か。
ア:4 イ:5 ウ:6 エ:8
基本情報技術者平成29年春期 午前問11
RAID1は、同じデータを2台以上のディスクに書き込む(ミラーリング)ことで信頼性を高める構成です。しかし同じデータを書き込むため使用できるディスク容量は半分(2台の場合)です。
そのため、4Tバイトのデータを格納するには、最低でも8Tバイトの容量が必要です。
設問の中にディスクの容量は1Tバイトと書かれているので、RAID1で運用するには少なくとも8台のディスクを用意する必要があります。