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今回のテーマは、ネットワークアドレス変換(NAT)についてです。
ネットワークアドレス変換?
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基本情報技術者試験や応用情報技術者試験で出題される「NAT機能」についての問題。NATの仕組みがわからないと難しく感じる問題ですが、NATの仕組みを理解していれば、難しい問題ではありません。
本記事では、ネットワークアドレス変換(NAT)について解説します。
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目次
NATとは
NAT(読み:ナット)とは、Network Address Translation(意味:ネットワークアドレス変換)の略で、IPアドレスを変換する技術のことです。
具体的には「プライベートIPアドレス」を「グローバルIPアドレス」に変換します。
グローバルIPアドレスとは
グローバルIPアドレスは、インターネット上で通信するときに使用するIPアドレスです。
IPアドレスとは、インターネット上の住所のことで、IPアドレスには、「グローバルIPアドレス」と「プライベートIPアドレス」があります。
グローバルIPアドレスは、世界中でユニーク(重複してはいけない)なアドレスであり、インターネット上で通信をするには、グローバルIPアドレスが必要です。
プライベートIPアドレスとは
それに対し、プライベートIPアドレスは、家庭や会社などの組織内のネットワーク(プライベートネットワーク)で使用するIPアドレスです。
プライベートIPアドレスが登場した背景には、IPv4の「IPアドレス枯渇問題」があります。IPアドレス枯渇問題とは、IPアドレスの数が足りなくなるという問題です。
そこで、すべてのコンピュータがインターネットへアクセスできる必要はないという概念のもとに、組織内のコンピュータには一定の範囲のIPアドレスをプライベートIPアドレスとして割り当てるという仕組みが生まれました。
世界中で重複しないように割り当てる必要があるグローバルIPアドレスとは違い、プライベートIPアドレスは組織内で重複しないように割り当てればよいのです。
次の図は、プライベートIPアドレスのイメージ例です。

組織内ネットワークである「プライベートネットワークA」と「プライベートネットワークB」には、プライベートIPアドレスが設定されています。
プライベートIPアドレスには範囲が決まっており、コンピュータに設定されているIPアドレスが以下の範囲内であれば「プライベートIPアドレス」です。
クラス | 範囲 |
---|---|
クラスA | 10.0.0.0~10.255.255.255 |
クラスB | 172.16.0.0~172.31.255.255 |
クラスC | 192.168.0.0~192.168.255.255 |
NATの仕組み
インターネット上で通信するには、グローバルIPアドレスが必要です。そのため、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する必要があります。
この「プライベートIPアドレス」を「グローバルIPアドレス」に変換するのがNATの役割です。(「プライベートIPアドレス」と「グローバルIPアドレス」を相互に変換する機能)
次の図は、NATのイメージ例です。

プライベートネットワーク内のコンピュータには、プライベートIPアドレスが割り当てられています。
プライベートIPアドレスが割り当てられたコンピュータが、インターネット上で通信するときは、異なるネットワーク間の中継器である「ルータ」がNAT機能を使い、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換して通信をおこないます。
しかし、NAT機能はあくまでもプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを1対1で変換します。そのため、同時にアクセスしたい場合は、端末の数だけグローバルIPアドレスが必要です。
この問題点を解消したアドレス変換の仕組みがNAPTです。
NAPTとは
NAPT(読み:ナプト)とは、Network Address Port Translationの略で、NATの問題点を解消したネットワークアドレス変換技術のことです。
別名 PAT(読み:パット、Port Address Translation)や IPマスカレードとも呼ばれています。
次の図は、NAPTのイメージ例です。
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NAT機能は、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを1対1で変換します。そのため、同時にアクセスしたい場合は、端末の数だけグローバルIPアドレスが必要です。
NAPTはこの問題点を解消したもので、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの1対1の変換に加え、次の表のようにポート番号を使い、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを多対1に変換することを可能にしています。
変換前のプライベートIPアドレス | 変換後のグローバルIPアドレス | 変換後のポート番号 |
192.168.10.2 | 202.10.101.11 | 20000 |
192.168.10.3 | 202.10.101.11 | 20001 |
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基本情報技術者試験 過去問の解説
基本情報技術者令和2年免除 問32
IPv4において、インターネット接続用ルータのNAT機能の説明として、適切なものはどれか、ア~エを順番に確認していきます。
ア:インターネットへのアクセスをキャッシュしておくことによって,その後に同じIPアドレスのWebサイトへアクセスする場合,表示を高速化できる機能である。
不正解:プロキシやWebブラウザが持つ、キャッシュ機能の説明です。
イ:通信中のIPパケットを検査して,インターネットからの攻撃や侵入を検知する機能である。
不正解:IDS(侵入検知システム)やWAF(Web Application Firewall)の説明です。
ウ:特定の端末宛てのIPパケットだけを通過させる機能である。
不正解:ファイアウォールの、パケットフィルタリング機能の説明です。
エ:プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する機能である。
正解:NAT機能の説明です。

「エ」が正解です。
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