今回のテーマはイーサネットとCSMA/CSについてです。
難しそう...
基本情報技術者試験や応用情報技術者試験で出題される「CSMA/CD」の問題。「CSMA/CD」の動きを知らないと難しく感じる問題ですが、知っていればそこまで難しい問題ではありません。
本記事では、通信の基本である「LAN」と「WAN」、そして「イーサネット」と「CSMA/CD」について解説しています。
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目次
LANとWAN
LAN(ローカルエリアネットワーク)とは
LANとは、Local Area Network(ローカルエリアネットワーク)の略で、社内や家庭で構成された一定範囲のネットワークのことです。
次の図は、LANのイメージ例です。
家庭や社内で構築されたネットワークは、LAN(ローカルエリアネットワーク)です。
家庭LANや社内LANには、デフォルトゲートウェイの役割をするルータが設置されており、デフォルトゲートウェイを経由して、外部ネットワークへアクセスします。
WAN(ワイドエリアネットワーク)とは
WANとは、Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)の略で、LANとLANを繋いだ広い範囲のネットワークのことです。
WANは、LANの利用者が、ISP(インターネットサービスプロバイダ)と契約して利用します。
例えば、一般の利用者は、ISPと契約し、ISPが提供しているブロードバンドルータ(デフォルトゲートウェイ)を経由して、インターネットに接続します。
次の図は、LANとWANのイメージ例です。
上記図は、家庭LANと社内LAN、そして、インターネットが存在しています。
家庭LANや社内LANには、デフォルトゲートウェイの役割をするルータが設置されており、各コンピュータは、ルータを経由してインターネットに接続します。
この家庭や社内で構築されたネットワークがLAN(ローカルエリアネットワーク)、そして、家庭や社内で構成されたLANから見た、外部のネットワークがWAN(ワイドエリアネットワーク)です。
イーサネット
イーサネット(Ethernet)とは
イーサネット(Ethernet)とは、コンピュータをネットワークに接続する際に使う、ネットワークケーブル(有線LAN)の規格で、世界中のオフィスや家庭で使用されています。
有線でネットワークにつなぐときに使う、ケーブルの規格です。
イーサネットの代表的な規格は次のとおりです。
イーサネットの規格 | 通信速度 | ケーブル最大長 | ケーブルの種類 |
10BASE2 | 10Mbps | 185m | 同軸ケーブル |
10BASE5 | 10Mbps | 500m | 同軸ケーブル |
10BASE-T | 10Mbps | 100m | ツイストペアケーブル |
100BASE-TX | 100Mbps | 100m | ツイストペアケーブル |
1000BASE-T | 1000Mbps | 100m | ツイストペアケーブル |
1000BASE-LX | 1000Mbps | 3000m | 光ファイバ |
全二重通信と半二重通信
イーサネットでの通信には、「全二重通信」と「半二重通信」があります。
イーサネットの初期は「半二重通信」が主流でしたが、現在では「全二重通信」が主流であり、イーサネット規格の中でも比較的新しいものは「半二重通信」をサポートしていません。
「全二重通信」と「半二重通信」の違いは、自動車の道路で例えると次のとおりです。
- 全二重通信:「上り車線」と「下り車線」が別の車線
- 半二重通信:「上り車線」と「下り車線」が同じ車線
下記の図は、全二重通信と半二重通信のイメージ例です。
全二重通信は「送信」と「受信」が別チャンネルのため、衝突(コリジョン)が発生しません。
しかし、半二重通信は「送信」と「受信」が同じチャンネルのため、衝突(コリジョン)が発生する可能性があります。
この問題を解決するために作られたのが「CSMA/CD」(読み:シーエスエムエーシーディー)です。
半二重通信は「CSMA/CD」という多元接続の方式を採用しているため、衝突(コリジョン)が発生しても問題なく通信できます。
情報処理試験では「CSMA/CD」の問題がよく出題されます。
CSMA/CD
CSMA/CDは「Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection」の略で、イーサネットで利用されている通信方式のひとつです。
具体的には、通信を監視し回線に空きがあれば通信を開始、仮に衝突が発生したら一定時間待機後に再送する、といった衝突(コリジョン)を回避するための通信方式です。
CSMA/CDの流れ
①Carrier Sense:ケーブル上に電気信号が流れていないか確認する
通信を開始する前に、ケーブル上に電気信号が流れていないか確認します。
②Multiple Access:フレームを送信する
誰も回線を使っていないことが確認できたら、通信を開始します。
③Collision Detection:衝突を検知したら一定時間後に再送する
仮に衝突(コリジョン)が発生した場合、それを検知し、ランダムな時間待機してから再び送信手順を行います。
再試行までにランダムの間隔(数ミリ秒)をあけて再送します。再試行のタイミングはランダムのため、他のコンピュータと再度衝突(コリジョン)する確率は極めて低くなっています。
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基本情報技術者試験 過去問の解説
基本情報技術者令和2年免除 問31
イーサネットで使用されるメディアアクセス制御方式であるCSMA/CDに関する記述として,適切なものはどれか、ア~エを順番に確認していきます。
ア:それぞれのステーションがキャリア検知を行うとともに,送信データの衝突が起きた場合は再送する。
正解:CSMA/CDの説明です。CSMA/CDは衝突が起きた場合、ランダムな時間待機してから再送します。
イ:タイムスロットと呼ばれる単位で分割して,同一周波数において複数の通信を可能にする。
不正解:TDMA(Time Division Multiple Access,時分割多元接続)の説明です。TDMAは、主に無線LAN通信で利用されている通信方式のひとつです。
ウ:データ送受信の開始時にデータ送受信のネゴシエーションとしてRTS/CTS方式を用い,受信の確認はACKを使用する。
不正解:CSMA/CAの説明です。CSMA/CAは、無線LAN通信で利用されている通信方式のひとつです。
エ:伝送路上にトークンを巡回させ,トークンを受け取った端末だけがデータを送信できる。
不正解:トークンパッシング方式の説明です。トークンパッシング方式は、CSMA/CD同様、衝突を避ける仕組みです。
「ア」が正解です。