今回のテーマはバックアップの方式についてです。
フルバックアップとかですか?
基本情報技術者試験で出題される「バックアップ方式」の問題。過去問を見ると難しく感じますが、フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップの意味を知っていれば、難しい問題ではありません。
本記事では、「フルバックアップ」「差分バックアップ」「増分バックアップ」について解説します。
スポンサーリンク
目次
バックアップの方式
バックアップとは、災害やハードウェア故障、誤操作によるデータ消失などから、システムやデータを復旧させるためのコピー情報のことです。
バックアップを取っておけば、「データが消えてしまった」「機器が故障してしまった」などのトラブルが発生しても、バックアップを取得した時点のデータに復旧できます。
様々なトラブルからデータを守るには、バックアップを取っておくことが大切です。
バックアップには、「フルバックアップ」「差分バックアップ」「増分バックアップ」という方式があります。
フルバックアップ
フルバックアップとは、必要なデータを全てバックアップすることです。
1回のバックアップに全てのデータが含まれているので、障害発生時は、直前のバックアップを使えば、バックアップを取得した時点のデータに復旧できます。
フルバックアップは、毎回すべてのデータをバックアップするので、バックアップを取得するのに時間がかかり、大容量の記憶媒体が必要です。
差分バックアップ
差分バックアップとは、前回のフルバックアップ以降に作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式のことです。
フルバックアップを使えば、フルバックアップを取得した時点のデータにもどせますが、フルバックアップ以降の変更が反映できません。
フルバックアップは、すべてのデータをバックアップするので、バックアップに要する時間が長く、さらに容量も大きくなるので、頻繁に取得するものではありません。
そこで、差分バックアップを使います。
差分バックアップは、前回のフルバックアップ以降に作成(または更新)されたデータだけをバックアップするので、障害発生時は、直前のフルバックアップと最後の差分バックアップ使って、データを復元します。
差分バックアップは、最低1回はフルバックアップが必要です。フルバックアップを取得した後は、フルバックアップ以降に変更されたデータのみを差分バックアップとして取得します。
フルバックアップに比べ、バックアップに要する処理時間が短く、データ容量も節約できます。
増分バックアップ
増分バックアップとは、前回のバックアップ以降に作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式のことです。
差分バックアップは、前回のフルバックアップ以降の差分を取得していましたが、増分バックアップでは、バックアップの種類は関係なく、前回のバックアップ以降の差分を取得します。
障害発生時は、直前のフルバックアップとフルバックアップ以降に取得したすべての増分バックアップを使ってデータを復元します。
増分バックアップは、最低1回はフルバックアップが必要です。フルバックアップを取得した後は、バックアップの種類に関係なく、前回のバックアップ以降に変更されたデータのみを増分バックアップとして取得します。
そのため、差分バックアップより、バックアップに要する処理時間が短く、データ容量も節約できます。
基本情報技術者試験 過去問の解説
スポンサーリンク
基本情報技術者令和元年秋期 午前問19
増分バックアップの説明として,適切なものはどれか、ア~エを順番に確認していきます。
ア:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。
不正解:差分バックアップの説明です。フルバックアップ以降に、作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式は「差分バックアップ」です。
イ:最初のバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。
不正解:フルバックアップの説明です。全ての情報をバックアップする方式は「フルバックアップ」です。
ウ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報があるファイルだけをバックアップし,ファイル更新を示す情報はリセットする。
正解:増分バックアップの説明です。直前のバックアップ以降に、作成(または更新)されたデータだけをバックアップする方式は「増分バックアップ」です。
エ:直前に行ったバックアップの後,ファイル更新を示す情報にかかわらず,全てのファイルをバックアップし,ファイル更新を示す情報は変更しないでそのまま残しておく。
不正解:フルバックアップの説明です。全ての情報をバックアップする方式は「フルバックアップ」です。
「ウ」が正解です。
基本情報技術者平成25年春期 午前問21
フルバックアップは日曜日で、月曜日~土曜日は増分バックアップを行っているので、ディスクの復旧は次の手順で行います。
- 日曜日の磁気テープで、フルバックアップした時の状態にもどす。
- 月曜日~金曜日の磁気テープで、増分バックアップの内容をディスクに反映させる。(磁気ディスクが故障したのは金曜日なので、月曜日~金曜日の増分バックアップを反映させる)
まずは日曜日の磁気テープ(フルバックアップ)の内容を、ディスクに書き戻すために要する時間を求めます。
設問に「リストア時には磁気テープを1本ごとに取り替える必要がある」と書かれているので、磁気テープの切替え時間とリストア時間の合計を求めます。(リストアにかかる時間は1Gで10秒)
ちなみにリストアとは、バックアップしたデータを使って、元の状態に戻すことです。
続いて月曜日~金曜日の増分バックアップをディスクに反映する時間を求めます。
最後に「フルバックアップの状態に戻すために必要な時間」と「増分バックアップを反映するために必要な時間」を合算します。
1,100秒 + 750秒 = 1,850秒
以上より、データを復元するのに必要な時間は、1,850秒と求められました。
「エ」が正解です。